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コンコーネOP50の38番から始めました。
音程良くきれいに丁寧に歌えていますが、声質がもう一つ芯がはっきりしません。
喉がまだ温まってないせいもあるでしょう。

しかし、一応、中音域発声の一つの方法を教えました。
一つは、唇を上にそらすようにして、ちょうどラッパの口のように使う方法。

彼女は、何か唇が硬くて、すぐに上歯を覆う癖があります。
これが、中音域では声を少しこもらせたり、独特の声質を作っている原因だと思います。
もしかすると、喉を下げようとしてるのかもしれませんが、中低音は、もともと喉が下がる傾向ですから、余計に喉を下げて声の響きがこもる原因になります。

もう一つは、声を前歯に当てるように歌う方法です。
これは古典的な発声法で、声を明るく前に通る声にします。

マスネーの「マノン」から、アリア「町を歩けば」、「甘い愛に誘う声に従いましょう」
フランス語がだいぶしっかりして来たことと、高音発声の声に成長がうかがえました。
評価を得るためには、高音発声よりも中音域で歌われる、お芝居の語りに精力を傾けるべきでしょう。そうでないと、マスネーのオペラの味わいは出ません。
むしろ、下手さ加減を増長しかねない要素に満ち満ちたアリアだと思います。

モーツアルトのAh se in ciel benigne stelle
以前に比べると、良く歌えるようになりましたが、まだ高音発声の喉が高すぎて、落ち着きに欠ける響きです。
彼女の場合、前述のように中低音の発声と高音とを逆に考えてみれば、分かると思います。

中低音ほど高く明るく前に出すことに反して、高音発声ほど喉の低い深い発声を意識してみるだけで、かなり違ってくると思います。
これを、2点F前後の換声点を境に、どう扱うか?
下側の声区をなるべく上まで持ち上げるのか?
それとも早めに換声させてしまうか?

フレーズの形や、そのあとのフレーズがどうか?あるいは目的フレーズの前のフレーズはどういう形か?
ということも関係するでしょう。

いずれも喉との相談で、自分で練習を積み重ねて、探してください。

低音から高音へ、一つのフレーズで行き来する場合に、口の開け具合や唇の使い方、
あるいは、顔の傾け方まで意識して、フレーズ中をフレキシブルに発声を捉えて歌わないと、レガートな歌唱にならないです。
モーツアルトの、特にソプラノの高音発声は、決して頑張って出してます感が出ない歌唱が要求されることが多いです。