体験レッスンでした

一人目の方は、合唱団のアルトパート。
本人が、発声を納得できずにいるとのこと。
早速、声を聞いてみると、アルトパートにしては、低音の響きに厚みが感じられません。
音程はとても良い声なので、合唱で厳しくしつけられたのかな?という印象です。

声楽的にみると、喉が委縮している印象です。
というのも、地声がほとんど出せなくなってしまっていることに表れています。
母音をIにして、息を低く静かに入れることで、低音発声が自然に響くように練習をしました。
ある程度響くようになったので、そのあとIからEそしてAへ、響きを変えないで移行する練習をしました。
これは、時期尚早でした。

なるべくIを使って、喉の開いた太い響きを得られる様に、丁寧に練習を積み重ねると良いでしょう。
そして、ブレスは急かないことと、たくさん入れようとしないことが大事です。
お腹の低い所で、自然に少し入れる程度にして、そこから声が出だすように、あるいは腰骨に響かせるような意識で、声を出だす練習を良くしておいてください。

中低音発声がしっかり確立すれば、高音への換声の課題は自然に出来るようになるでしょう。

ISA

5年前の体験レッスンから、久しぶりにやってきました。
フランス歌曲を訓練したいとのこと。

まずは発声を聴きましたが、さすがに体格の良い方だけあって、ちょっとしたことで、ビンビンと良く響く喉を持っています。
私の考え方は、あるべき喉のキャパシティは使い切るようにした発声が良い、と思っています。
そのため、ソプラノであるとかレッジェーロな声が、とかいうキャラクターを先に決定して、それに合わせる発声法を訓練するのではなく、本来あるべき喉の自然な状態を基にした、発声を確立したほうが良いと考えています。

結果的に彼女の場合は、中低音がたっぷり響くメゾ的な声になりますので、ソプラノでいえばリリックなキャラクターか、
ドラマティックなキャラクターでも良いでしょう。
もちろん、メゾを専門にすることも十分可能です。

まずはブレスの深さと、声の出し始めの低さを持たせることで、喉や発声諸器官のリラックスを十分に得ること。
そこから、高音発声への換声点の通過の課題が自然に出来上がって行く、と考えます。

サン・サーンスのオペラアリア「サムソンとデリラ」のアリア「あなたの声に我が心は開く」を通しました。
鼻母音の扱いに注意を。終わりにNを入れないこと。結果的に長母音化すること。これはUの母音も同じです。
CoeurやFleurなどのoeの発音は、狭くなく、むしろ広く発音してください。

全体に非常に音程感の良い、滑らかな声で歌えています。
気を付けるのは、発声でやったように、声の重心が上ずらないように、ブレスが高く胸にならないようにすることと、
喉を高くして息もれのある声にならないよう、声の充実した響きを重視したフォームを常に意識してください。