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発声練習は、喉の力の入れ方で開母音の響きの抜けを無くす方法をトライしましたが、結果的に難しかったです。
やはり力のかけ具合を具体的に指摘すると、かえって弊害があるのでしょう。
同度でIEAと移行して、結果的にAが抜けない状態になれば良いと思います。
その状態を覚えて行ければ、中低音の響きの抜けは防げるでしょうし、より響きが増すようになるでしょう。
それにプラスして、実際の歌の中で試してもらい、効果が絶大だったのは、共鳴の場所を、胸に意識することです。
これは、特に中高音の5点Dくらいから始まって、換声点を超える5点Gまでです。

彼女の癖は、響きを鼻腔に集めるようですが、そのまま高音に移行してしまうため、結果的に細く締まった声になり、子供のような高音発声になります。
この声が、中音域の音楽性からかけ離れた印象を与えることと、歌詞発音を不明瞭にする要因になっています。
5点D辺りから、なるべく喉奥を開けて、胸部に共鳴を作る意識によって、あたかもヴァイオリンの胴に響きを共鳴させるつもりで、高音発声に対処できるようになってください。

曲は、ガブリエル・デュポンの「マンドリン」から始めました。ヴェルレーヌの詩によるもので、ドビュッシーとフォーレを足して二で割ったような曲想です。
5点Cから上が多いですから、喉を開ける発声を覚えてください。
三善晃の「抒情小曲集」から「ほおずき」と「小曲」は、萩原朔太郎の詩によるもので、文語体の歌詞は、恋慕の情を切々と歌うようで、まさに喉を開けた発声による、落ち着いた響きが必要になります。
それは、単に中高音発声の太さと安定だけに留まらず、そのことによって、中低音域の声に膨らみと魅力が出ることをバランスするので、一石二鳥なのです。