YM

体験レッスンでした。
バッハのカンタータBW208のNo9のアリアを歌いたい、と持ってきました。

声を聴いてみると、合唱のソプラノに多く見られる、息を良く使った管楽器的なイメージの発声、と感じました。
基本的に2小節が最低単位になっているメロディですが、この2小節が息が持ちません。
見ていると、息があるのに、使えていない感じでした。

発声練習は、肩で息をして息漏れの多い声だったので、お腹から声を出すことと、息漏れをなくすことを主眼に練習を始めしました。

しかし、このお腹から声を出す、という発声フォームの中でもポジションの持ち方が、今の彼女にはかえってよくなかったかもしれないと思ったのは、最後に、現在、他所のレッスンで練習しているモーツアルトのBatti batti O bel masettoを練習した時のことでした。

声の出し始めを、低い場所に意識すると、どうも舌根で喉を下げる発声になりやすいように思いました。
これは、腹式呼吸の基本が未完成なことが、原因だと思われます。

このため、舌根で見かけ上の喉を下げる発声になると、実は息を強く使う発声になりやすいです。
また、声質が暗くなり、ピッチが低く感じられる声になるデメリットがあります。
一見、発声上の支えを感じられますが、息を使う発声としての効率は悪いのです。

1時間通してレッスンをして得た答えは、今の彼女に大事なことは、声を細い点に集める発声を意識することではないか?ということ。

お腹から出す、という方法はある面で必要なのですが、初心者の場合、前述のように息を余計に使う原因になりやすいのだ、と思いました。

ブレスは確かに胸でしない方法を選ぶべきですが、今は肩でブレスしない程度にしておいて、腹式呼吸にこだわるよりも、声の響かせ方に集中するのが得策と思います。

響きの場所、響かせ方の、一種を会得できると、それだけで、恐らく声の支えを感じられますから、結果的にブレスがコントロールしやすくなるでしょう。
その結果を待ってから、呼吸法を改めて練習することが良いと思います。

最後に付け加えると、声を細く集めると同時に、息の配分をシミュレーションするために、息を吐く練習をしてみたいと思いました。
次回、やってみます。