JA

発声練習と下あごの使い方と上唇の使い方、を主に指導しました。
下顎を下しておいて、上あごを上げるように高音発声する方法です。
上あごは実際は動きませんが、頬を上げて上唇をめくれ上げるように使うことで、軟口蓋が上がります。
結果的に鼻腔は閉じますが、その分、気道からの声の響きが前に出やすくなります。

すでに会得している、口をあまり開けないで発声する方法間違っているわけではないですが、声を当てる方法のため、やや喉を締め気味に感じるところがあります。
口をあける発声は、主に下顎を下ろし気味にすることで、喉の脱力を促す方向です。
その分、ピッチの高さと明るさを確保するため、上唇をめくるように使って、フレーズや歌詞をアーティキュレーションする歌い方になります。

口を開けないで頬骨や眉間に声を当てることも、響きの明るさや良い意味での硬めの声質に寄与しますが、これだけを練習していると、喉が閉まる傾向になり、高音の換声点過ぎてから閉まったピッチの微妙に下がった響きになることがあります。
また、実際に喉にも負担がかかります。

発声の基本は脱力、応用は声を集める、という考え方をするのが分かりやすいでしょう。
基本を大事にしつつ、応用をしていくわけです。

コンコーネOp50から、7番は、換声点付近が最高音ですが、このあたりで喉を詰めないように。
子音をつけないで母音で回しこんで行くように歌ってもらいました。
声帯を少し開く感じかもしれません。
言いかえれば、喉を締めないように歌うほうが綺麗です。

モーツアルトのフィガロの結婚からスザンナのアリアでは、1フレーズをなるべく一息で歌ってもらいました。
これも、結果的に響きを求めるあまり、余計に息を使ったり喉を詰めて息が流れない発声にならないようにすることが目的です。
あるいは1フレーズの息の流す配分を良く練習する、という意味でもあります。

この曲の最高音は、声を集めて前に出すよりも、開いた薄い響きの方が美しいです。
実際、楽譜上の指示でも、クレッシェンドの頂点ではないところに、音符があるでしょう。
また、この最高音の後に出てくる、5点Fのロングトーンも、きれいにディミニュエンドすることを覚えてください。

フォーレ Aurore
これも、なるべく1フレーズを一息で歌う練習をしました。
そのためには、声量を適度に抑制することも必要です。
声量を抑制することで、喉の使い方にも変化が感じられるはずです。
抑制そのものが目的ではなく、抑制しようと意識する練習を経ることで、発声のコントロールを覚えることが目的です。

全体に子音発音が弱いことも声帯の扱いに関係あります。
力んで発音するのは、逆効果ですが、特に破裂音(PB)や舌音(D)唇音(V)が上手くなることが、発声の向上につながります。

HA

中低音の発声は、やはり喉を掘る傾向が残っているのが惜しいです。
このために、中低音域の発声で微妙に♭に感じる部分があります。
換声点を過ぎると、頭声の強い声ですが、共鳴が上手く利用されていて、意外なほどに響く声なのが、最大の美点です。
仮題は、中低音で、喉を掘らないで高く響かせる意識を持つこと。
具体的には、舌を力ませないで、少し丸く盛り上げるように使えると良いです。
特に母音のAとOでは、Eのような意識で発声してみると判るでしょう。

Ah mio cor
ゆっくり目のテンポで、激しい感情表現ではなく、しっとりとした悲しみが表現されている点が評価できます。
ただ、歌声の表現そのものをあまり悲しくしない方が良いでしょう。
音楽的なテンポだけ気をつければ、あとは自然に淡々と歌えば、自然にこの音楽の表現が伝わる、というスタンスが良いです。
バロックの音楽なので、あまり感情表現を込めない方が良いのです。

Caro nome
まだ譜読み途上ですが、歌いこめば、良い演奏が期待できそうです。
細かい修飾音符やメリスマは、ゆっくり練習して丁寧に音符を扱うように留意してください。

TNA

発声練習での発声は、声を響かせるコツがつかめてきたようで、ちょっとした重心の下げ方や口の使い方で、声の響きが出るようになりました。
今回教えたのは、下顎を下げて声の重心を確保しつつ、高音の特に換声点を過ぎてから頭声に切り替えるために、上あごを上げるように口をあける方法です。
このとき、下顎は戻さないで下しておきます。
上あごは実際は動かないですが、頬の筋肉と上唇がめくれ上がることで、軟口蓋が上がります。
これは、具体的には声帯が良く伸展し最大限の声の響きが得られますが、細かい音符の動きには対処しずらいでしょう。
もし、対処するのであれば、上あごの頭声の響きだけを息の流れ(力)で動かしますが、今回は教えていません。

曲は、フォーレのApres un reveから。
中低音の声の重心が、声を抑制することで高くなってしまい、結果的に気息的な声になる点を注意してください。
あまり抑制しないで、良く響く声で出始めるべきでしょう。
その方が結果的に息も伸びると思います。

ベッリーニ「カプレーティ家とモンテッキ家」から「ああ、幾たびか」
中低音域の歌声は大変良いです。綺麗に滑らかに歌えています。
最高音域のメリスマは、前回まで口を開けない方が歌いやすいと教えていましたが、今度は喉が締り気味になるデメリットも出ています。
今回の口を縦に良く開ける発声で、換声点以降を喉を緩めて上あごだけで歌う方法も試してみたと思います。
これを覚えると、恐らくもっともバランスの良い高音発声ができると思います。

ST

今回のレッスンでも、やはり舌根の力みと硬さが目につきました。
舌の力みが、声を出すための支えになってしまっています。
声を出すエネルギーの基は、ブレスであって舌根ではありません。
舌根よりも、軟口蓋を大事にしてください。
そのためには、舌を平たくペタンと落とさないで、山形になるように母音発声することを覚えてください。
要するに母音のEを発音するときの舌の感覚です。
この状態だと、舌に力みが出ないで発声できます。

平城山
野薔薇
ドンナ・アンナ

難曲揃いで、今までいろいろやりましたが、今回の高音発声で下顎は下しておいて上あごで歌うという方法はやるべきだ、と思います。
声のバランスが良いし、喉にも良いです。
もう少し続けてみましょう。