YY
ビリティスの3つの唄
1曲目は基本のテンポ設定を調整。
ゆっくりのテンポで歌えて悪くないが、声が微妙に不安定だったこともある。
テンポ指示が楽譜になくても登場人物の感情の揺れが音楽に表現されているので、テンポの揺のポイントを指示した。
Grenouilleのouの発音がｙになりがちの点を注意。
またEの鼻母音もエのようになる点を注意。浅いアが良い。
2曲目は低音の声の良さを意識して歌うと、結果的に良い音楽性が出ると思った。
また、転調した個所のピッチは意識して歌うべき。
シンコペーションの伴奏なので、歌のパートのリズムの入りを勘違いしやすいので注意を。
3曲目は楽譜に指示してあるとおり、虚脱感を感じるような歌声のエモーションがほしい。
そして諸所に人物の語りが入るので、歌うよりも口調を出すように。
そして音楽の頂点に向っては、一気呵成にドラマティックに表現できると良い。
2つのロマンス。
ロマンス
最初の通しの歌声は、清楚な印象で悪くないと思った。
理想は、もう少し熟れた感じがほしい曲想であると思う。
そのためにテンポの変化を提案した。
レチタティーヴォで始まって、歌のテンポになり、楽譜指示通り一気にゆっくりになり、
元に戻って頂点になり、終わりを迎える。
ピアノ伴奏は遠慮せずに歌うところはしっかり歌ってほしい。
鐘
これは伴奏和音との声のアンサンブルが問われる。
ピッチを高めにして響きを薄く繊細に歌うことを指示した。
全体にジャポネスク的な要素を感じる作品である、ということも関係ある。
HA
ヘンデル Lasia ch’io pianga
レチタティーヴォは、伴奏とのすり合わせ。
伴奏は、緊張感と弛緩の違いを表現してほしい。
アリア部は、これも伴奏音楽とのすり合わせになった。
ベッリーニ Qui la voce
メリスマの細かい音符、特に半音階のメリスマも上手く処理できている。
高音発声に課題。
特に6点Cで声帯が開いてしまうため、響きが散ってしまうこと。
歌いながら最高音に向けて、喉を開けて行くように。
口を横開きしたくなるが、しないように。
全体に、歌詞の子音の出方と発語方法が良くなった。
低音の地声領域への変化もとても自然になったので、かなりな低音まで音楽的に扱えそうである。
EK
Casta diva
高音の発声がとても良くなった。
以前は喉を締めていたか押していた領域の5点Aから上の声が、改善されて音楽的に滑らかに歌える点が最大の進歩。
課題はブレス。つまりフレーズを長く歌うテクニック。
ブレスをじんわりと長めに入れるテクニック。
その結果として、フレーズの息の配分への集中が生まれるはずである。
前半のゆっくりの楽節も、出来れば一息で1フレーズ歌えるのが理想。
今回は良いが、今後はなるべく1フレーズを歌おうと努力してみると良い。
ブレスのやり方、歌い出してからの息の配分ということを自然に覚えられるだろう。
後半のテンポの速い楽節は、聞かせ所が長いメリスマになる。
どのみち、どこかでブレスを入れなければならないので、なるべく切れ目が滑らかに出来る箇所を選んでほしい。
小節線で入れるのは、あまり好ましくない。
大体長い音符の個所で入れると目立たない。
SNT
歌声にロマンを感じる表情がついてきた。
やや細かいビブラートが付くのが美点である。
ロッシーニ「約束」
微妙にピアノ伴奏の方が積極的か？
歌手のブレスは大事なので、歌手も自分のブレスの間合いを大事にすること。
ピアノだけを頼りにしない事。
楽譜に弱声の指示が有るところは、音楽の変化もあるわけだから、ブレスの間合いを微妙に取ることで変化が生まれる。
フォーレ「私たちの愛」
テンポ感は絶妙に良かった。
歌はリズム感が良くなった。
イン・テンポで言葉さばきが遅れないよう、フランス語のリズム読みを欠かさないように。
モーツアルト「フィガロの結婚」伯爵夫人のアリア「楽しい想い出はどこへ」
レチタティーヴォは良い出来で万全である。
アリアも良く歌えているが、後半は少しテンポを速めたと思う。
前半は出来る限りレガートを大切にすることと、ブレスの間合いを良く感じてフレーズの尺と表現に合ったブレスを探してほしい。
