GH

発声練習

最初は課題を持たず、5度アルペジオ、5度スケールの練習を行った。
その後本人からの質問で、良く響く声、広がりのある声、というテーマがあった。
ある意味では、もっとも難しい声の技術であるが、答えたのは以下の点である。

1、喉のポジションとして良い脱力を得るための練習。

胸を軽く振動させるような意識で声を出す事。
慣れるまではピッチ(音程)を気にし過ぎないこと。
ピッチを気にし過ぎることで、不要な緊張が生じやすいからである。

2、ハミングでピッチを正しく決める練習。

前述の脱力した喉を維持した上で、口を開けたハミングで正しいピッチを出す。
その状態で口蓋をふさいでいた舌を外すことで、ハミングから一瞬にして母音に変換する。
この練習時には、口を開けるために降ろした下あごを動かしてはいけない。
顎を動かすと喉のポジションが変わってしまうからである。

3、母音の共鳴

口の開け具合、つまり口奥の容積の変化を持たせることで、喉で発声した声の響きに
共鳴感を付けることができる。
これで始めて固くない広がりのある声が完成する。
これは音域によって変わるのだが、特に3点G~bの小換声点は、喉の響きではなくこの共鳴に頼る方が良い。
喉の直接の響きに頼ると、ピッチの悪い硬い声になりやすいからである。

曲の練習

シューベルト「竪琴弾きの歌1番」

ピッチを正確に歌うこと。
特に音程が下がるとき。
これは音程を追う歌い方になるためである。
音程を追うのではなく、響きを変えないようにすることが肝要。

トスティ「漁師の唄」

低音の発声を喉に頼らず、上顎を良く意識して共鳴を出す発声を大切に。
そのことで、ピッチが下がりやすい低音域のメロディがきれいに決まるのである。
ピッチが上ずるのが、4点Cくらいからなので注意を。
テンポ感、リズム感は良い。

越谷達之助「初恋」

前半部分は音楽のイメージが活かされた歌い方で良かった。
中間部のメリスマは弱声に拘らずにピッチの良い正確な音程感を大事にしてほしい。
正確さが出せるようになってから、声の抑制に注意を払えば良い。