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コンコーネOP15の9番から始めました。
声の響きがまとまって来て、音程も良く綺麗に歌えるようになりました。
高音のチェンジ以降も、響きにまとまりが感じられ、単なるファルセットではなくなってきています。
練習したことは、楽譜に指示してあるアクセント記号、マルカートなどをその通りに表現することでした。
このことで、リズム感が出て来ますし、フレーズの形にスタイルが表現されて来ます。

次の12番では、フレーズの声の入りや、フレーズの滑らかさを声で表現することを注意しました。
それから、中間部で出て来る32連符で書かれたトリルは、正確さを目標として下さい。
まずは、ゆっくり練習してから速くします。
響きの場所を軟口蓋辺りに決めて、その場所でトリルするようにして下さい。
喉でやらないでください。

最後のページのマルカート記号も、声で良く表現して下さい。

モーツアルトのコンサートアリアは、全体にテンションの高い歌でした。
そのため、喉に負担になるように感じられることと、落ち着きがないので、安心して聞けないでしょう。

特に前半は音域の高さに関わらず、落ちついた柔らかい音楽表現です。
歌う様子を見ていると、やはり上あごを使った発声になっていないため、軟口蓋の開いた(上がった)発声が出来ていないです。
母音発音の際に、下顎を使わんずに上あごで発音するように意識して練習してください。

それから、子音発音をもっともっと活用して下さい。
特に発音記号のkは、軟口蓋で出し始めることで、発声の軟口蓋の動きも開発されます。
R ももっと巻き舌を使うことで、舌も柔軟になるため、これも発声に良い効果が表れるでしょう。

これらの発声についてですが、まだ喉そのものだけに意識を集中して、声帯合わせようとして声を出し始めている節が感じられます。

これから覚えて欲しいことは、もっと喉を開けてから声を出し始めることです。
喉を開けるという意味は、声帯を充分に伸ばしておいて、声を出し始めるという意味です。
声の出し始めに「あくびの状態」にするのは、そのためなのです。

たとえば、コンコーネNp15の9番の出だしのシ~ミというフレーズ。
声帯を伸ばしておいて出すことによって、クレッシェンド自然にかかるはずなのです。
ところが、声帯を伸ばすのではなく、声帯そのもので合わせて出そうとすると、音符をつないで歌うだけ、というようになります。

ただ、現状でも声帯の合わさりは良い状態になって来ています。
ただ、伸展が弱いため、クレッシェンド・デクレッシェンドがしにくい発声になっていること。
恐らく高音のチェンジから先も、その点があるために、ファルセットになり易いのではないでしょうか?

最後に練習した、マノンのアリアは、発音がかなり明快になって来ました。
更に明快に発音出来るように練習を積み重ねて下さい。

今回は、フレーズ毎の声の強弱を注意しました、
これも全体にテンションが高すぎるため、まずは落ち着いて歌う箇所、テンションの高い所をはっきり区別してもらいました。

音楽的、あるいは演劇的なテンションよりも、発声を大切にして、丁寧に歌うことに意識を持って行って下さい。
すなわちブレスから声の出し始め、その時の喉の準備状態は?発音は?子音は?楽譜のダイナミック記号は?
リズムの緩急はどうなっているか?
そういう作業を淡々とこなすようにして、演奏することに徹底してください。

そのことが、結果的に聴いている者が心地よい演奏に繋がって行くのです。