SKMM

発声練習は、徹底して頭声発声中心にした。
彼女の場合は胸声の悪い癖を出さずに済むからである。
生の地声が出やすいのは、特にA母音で顕著である。

頭声発声の練習には、子音Hを付けるのが良い。
声の響きを当てに行かなくなるからである。
当てないことで、良い意味で微妙に息の混ざった発声が出来ることで、声帯を厚く使わずに済むから。

コンコーネの20番
発声練習で実現できた声をそのまま応用出来たので合格としたい。譜読みも良く出来ていた。

曲は、Lasciar d’amartiとNel cor piu non mi sento

歌になって今更ながら気づいたのは、舌がとても硬いのか?二重子音がとても苦手である。
これも外国語への慣れだと思う。

また小換声点の4点bをまたぐフレーズで、特に下降形で音程がずれやすい。
これは彼女に限らないのだが、まだ胸声の癖が残っているためと思われる。
つまり急激に胸声に落としてしまうのだろう。
ヘ長調の5点Cからスケールで降りる際に、短母音ならよいのだが、この第二音のファが♭分落ちてしまう現象に悩まされていた。
これはソ~ファなので全音程だが、半音程だとより顕著になるだろう。

下降形であっても、感覚的に上に上るイメージで発声しないと音程が狂いやすいのである。

しかし全般には、この頭声発声のおかげでとても良い声質になり、声の響きも増したと思う。
特に声の響きに関しては、共鳴の効果であると思う。

つまり口の開け方は大事である。
というか彼女は口を開けない癖があるので、ブレスするときにあご関節が張り出す程度に下あごを下すと良いだろう。

Nel cor piu non mi sentoでは、声よりも小換声点の発声上の問題で音程が合わない問題と、二重子音の発音が難しかった。
後者は慣れるのみ、練習あるのみである。ゆっくり確実に発音出来たら少しずつ速く発音できるようにすること。