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久しぶりであった。
喉を傷めて3か月近くの休みを経てレッスンに来た。
結果はとても良かった。

発声練習の始まりで、改めて息の入れ方と声のサポートのことについて、腹筋周りの使い方を指導した。
最初は力まないように、という意識からだろうか?お腹の抜けた声になっていた。

そこで、ブレス時に斜腹筋を使って息を入れることを徹底してもらった。

息を入れる時に、この斜腹筋が働くことと、歌っている際に、更にその筋群が声を支えるように使うことである。

後は実際の声として、歌声の方向を斜め下に大らかに広がりを持たせるように意識すること。
つまり声は口から斜め下に向って離れて拡散するイメージである。

このようなイメージは、喉の上がりを防ぐためにである。
特にフレーズの音程跳躍では、喉が浮かない(上がらない)ように注意するために、声を上から被せるイメージ、あるいは上に上がろうとすることを抑制する天井を作るイメージを持つことである。

トスティの14番。

これは多分譜読みが未熟であったかと思われる。
先に行った発声の諸注意を復習しながら、何度か通してすっかり良く出来上がった。

小林秀雄の落葉松から。
これは高音発声の4点Fに注意を。

「落葉松の~光の~雨に」の「光の」の「の」で喉を開けて口の形を微妙に変えて「雨に」の4点Fのあ母音を発声するという具合。

つまり前の声で喉を開けて、その状態の喉のまま「雨に」を発声するという具合である。
この時、の~あという母音変化を、喉を変えないでいかに出来るか?ということがカギである。
逆に言えば、「光の」の「の」で喉を開けられないと上手く行かないのである。

イタリア古典からDimmi amor

この曲も4点Fが鬼門である。
いずれも、この鬼門の前で喉を開けた発声になっているかどうか?が重要。
I母音は口を横に引かないで唇を使うこと。
O母音は喉そのものを下げようとしないで、すでに喉を開けておいてA母音で当てる練習をしてからそのままOに変化させる方法がわかりやすいと思った。

越谷達之助の「初恋」

前半の最高音「初恋の痛みに」のI母音は、やはりその前の「た」のA母音で開けておくこと。
その状態を変えないで、「み」を発声する形である。

後半の弱声で歌われるメリスマの声は、以前のようにファルセットにしないこと。
お腹の張り、サポートをしっかりさせて、息漏れが出ないように歌ってもらった。
概ねうまく出来たと思う。
「想い出ずる」のウ母音は、唇を突き出すようにして、ウ母音が浅くならないように注意を。