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三善晃「叙情小曲集」

ほおずき

テンポは指示通りと思われたが、大事に歌い過ぎて言葉の流れが滞っているように感じられた。
伴奏のテンポに寄りかからずに、自身による歌詞を語る流れとその調子を活かして歌うと良い。

「少女よ」

声を深くするよりも、むしろ浅めを狙って細く頼りなげな声が表現に相応しいと思う。
フレーズの切れ目のブレスを短く。
その代わり前のフレーズを、小節線ぎりぎりまで長く伸ばすこと。
そのことで、特徴的な<>のマークがある個所をよく表現出来る。

「雨の降る日」

中音域の小換声点付近(4点b~h)で声の響きを意識するとピッチが低く感じられる。
響きではなく、正しいピッチを重視するために、喉を楽にすること。
言い換えれば、喉を少し浅く意識すること。
一方、後半の強い声は良い声、チェンジした声よりも、感情を思いきりぶつけるようなストレートな声が望ましい。
これらの声が何を表現するか?
それは詩の主人公の想いにある底を知らない哀しみ、それを表現した三善晃の音楽。

「小曲」

男気を感じる音楽であり、歌である。
そのため、テンポは楽譜指示通りで9/8の特徴的なリズム感を大切にすること。
そのテンポをよく感じて、曲調の勇ましい心意気を歌に載せてほしい。

「五月」

この詩と音楽が持つ一種の狂気を、冒頭のゆっくりしたメロディで充分に表現すること。
それは歌声を聴いただけで、顔が微笑んでいるように感じられる声ではないだろうか?
中間部の感情が高まる個所は、歌舞伎のセリフのように強い張った声によって演劇性を出すと効果的である。