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発声練習

発声練習を聴きながら、苦労してきた彼の発声の進歩を実感できた。
これは始まる前に、少し声のキャラクターについて話した影響もあったのかもしれない。
彼はどちらかというと、クラシック音楽、声楽オタクではなく、純粋に歌が好きなタイプである。
このことがクラシック的なキャラクターを前面に出した歌声に素直に馴染めないものがあるのかもしれない。
恐らく歌う楽しさを合唱で味わったこともあるだろう。
とはいえ、ソロで歌う声楽を知ってもらうためには、声のキャラクターは大事である。

特に彼の喉はバリトンになることが最も近道、と思われるからである。
中学生くらいであれば、テノールも可能かもしれないが、年齢的には大変だろう。
そのようなわけで、以前から言っている、ヘ音記号の音、つまりキーボードでメロディラインをヘ音記号で弾いてその音質を体感することを推奨してきた。
また技術的には、横隔膜をシッカリと収縮させて歌いだしの喉の状態を作ること。

歌を上手く歌える人にとって自然な歌声というのは、クラシックの声楽という括りでいえばやや違う面がある。
なぜなら声楽は、いわゆる平均的な日本人の声というよりも深みがあり良く響く西洋人の声から生まれたものだからである。

トスティ ソルフェッヂ21番

音符を読むから脱してフレーズを歌うために、1小節2拍の2拍子を2小節2拍、つまり1小節を1拍で感じるように提案した。
そのことで、音符だけを追っているようなリズム感から、本来の音楽的な歌になるからである。

モーツアルト「フィガロの結婚」よりフィガロのアリア「もう飛ぶまいぞ、この蝶々」

この曲は以前取り上げたのだが、今回はバリトンの声質がどれだけ自然に出せるか?を知りたかったので持ってきてもらった。
低音から高音まで平均して滑らかに歌えるようになった点が最大の進歩である。
中低音は深みがあるし、高音は上手くデックングさせられるようになった。
この点も成長の証であろう。

信時潔「我が手の花」

この曲を選んだのは、信時らしい日本風に古雅な味わいのある作品であることと同時に、
その歌声の在り方を学ぶのに適していると思ったからである。
シンプルなメロディで短い事。
バリトンらしい深みのある声でこのメロディを歌えると、この作品の良さがいぶし銀のように輝くのが分かる。