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発声練習を下降形、上向アルペジョ、スケールなどで2点Gまで一回ずつやった。
体調も良いようで、しっかりした良い声が出せていた。

曲は、信時潔の歌曲集「沙羅」より「夢」を。
日本歌曲を、ということで、この作曲家を推薦したが、曲は彼女が選んできた。
日本歌曲は当然、歌詞が母国語だから、音楽の好き嫌いとは別に興味が湧く要素はある、と思う。
この「夢」は、音域や音楽など、技術的に無理が無い曲なので、日本歌曲を歌う意味、歌詞を歌う演ずる要素に勉強になるだろう。
先ずは、自分がどう思うか?という事よりも、聞いている人が歌詞と音楽を、バランスよく1回で理解できる演奏、を目指したい。

フォーレの歌曲は3曲。
Tristesseは、歌詞の読みとリズムの関係を練習した。
彼女に限らずのことだが、もう少し歌詞だけの読み込み(音読、とリズムをつけた音読)を増やしてほしいと思った。
特に慣れない外国語であれば、譜読みの時間をかけるよりも大切なくらい、と言って過言ではないと思う。
また、女性の場合は、地声よりも、ファルセットに入った状態の声で朗読すると、歌になってからの喉の違和感がないので
良いと思う。読んでいて、違和感があるかもしれないが、気にしないでやってみてほしい。

音読の練習は、声を出す練習場所や音を取る楽器がなくても出来る、というメリットがある。
発声の根源である声を出すエネルギーは、何と言っても歌詞発音によって得られる語感によるエネルギーの発露や音楽のリズム感による影響が大きいからである。

Au bord de l’eauは、とても綺麗に良く歌えていた。
強いて言えば、高音域の発声としては、もう少し喉を開いた発声を得て欲しいと感じた。
本人は息をたくさん使う感じがするとの感想だったが、更に共鳴を作れればもっと発声は楽になるだろう。

これは次に歌ったNellもまったく同じ課題である。
低音は、もっと低く楽なポジションで声を出し始めることと、高音に上がるときは声を集めようとしないで、上に拡げて行くイメージである。中高音~高音域は、何となくイメージで声を集めて、一点に当ててしまうものである。
これはポイントは掴みやすいのだが、間違うと喉を締めてしまうので注意が必要ではないだろうか。