2026年6月14日に行われたアトリエムジカCの試演会講評

2026年6月14日アトリエムジカC試演会記念写真

感想

今回の試演会は出演者それぞれが良く練習し、とてもレベルの高いコンサートになりました。
長年鍛錬を続けてきた人もいますが、合唱で活躍している人、他の楽器も勉強している人、等々々ただ声楽が好きな素人とは言えない面々でした。
私自身も、ポップスからジャズ、クラシック、果ては邦楽の小唄や長唄などなど、様々なジャンルの歌や音楽を分け隔てなく愛しています。
そのようなわけで、どんな歌でも音楽でも作品が持つ良い音楽性を発揮してくれると嬉しくなります。
私の指導にはそういう観点があります。

私がアマチュアの声楽家に望むのは、通とかおたくと呼ばれる狭い趣味に甘んじている人ではなく、広く浅く音楽に好感を持つ聴衆に受け入れてもらえることです。
つまりプロの二番煎じにならないことです。
そのことが、一般の音楽好きの方々に広義での声楽の良さと、歌声の面白さを広めることが出来ると思っているからです。
皆さんがいずれいろいろなところで声楽を披露することが、声楽ひいてはクラシック音楽を一般に広める重要な役割を担うと信じています。

なお、各人の動画は各人のイニシャルをクリックするとyoutube動画にリンクされます。

KR KRさん

イタリア古典歌曲集より
「愛に満ちた乙女」
「お前をたたえる栄光のために」

声楽的な課題は残りますが、基本的に歌の勘所を抑えた良い歌を聞かせてもらったという印象です。
歌に対する本質的な音楽性の資質があると思いました。
これからの発展を祈ってます。
課題:ブレスの仕方、その身体の使い方にこれからの練習の大切さが残ってます。

TNK TNKさん

ヴェルディ「墓に近寄らないでほしい」
ヴェルディ「椿姫」より「プロヴァンスの海と陸」
中田喜直「ねむの花」

ヴェルディはご本人のキャラクターに合っているのでしょう、ドンピシャといっても良かったです。
「ねむの花」は男性が歌うのは珍しいですが、男らしい声で歌ってもこの曲の良さが発揮できるのだと感じ入りました。
課題:譜読みの段階で、拍節や流れるリズムということを更に意識した練習をすると良いでしょう。

MMH MMHさん

ドナウディ「ああ愛する人の」
ドビュッシー「忘れられし小唄」より「緑」
サンペドロ「ゆりかごの揺れの中で」

前日まで体調不良で、キャンセルか?とのことでしたが、蓋を開けてみればまったく不具合のない音楽的な良い演奏となりました。
声の素直さとかメロディの良さをきれいに見せる才能が素晴らしい。
課題:合唱と違ってフレーズを見せる、聞かせるという一面がソロにはあります。
ブレスの身体使いや、どこでブレスを入れるか?大切にしてください。

MO MOさん

イタリア古典歌曲集より
スカルラッティ「私の心は感じる」
トスティ「セレナータ」
信長貴富「覚えているかいあの春を」

少年のような素直さと純粋さ、というものが彼の歌声と音楽性が持つ美点と感じました。
彼本人の工夫によって高音発声が上手に出来るようになった点を評価したいです。
課題:高音発声への意識のためか?中音域の声が奥に入った声になった点を前に出せると良いです。

SNT SNTさん

ドビュッシー「うすら明かりに」
      「ロマンス」ヴァニエ歌曲集
      「マンドリン」

風邪をひいて喉の不調があったとのことですが、まったく不具合を感じさせない歌声でした。
むしろドビュッシーがソプラノ向けに書いた曲の美点が出せたのではないでしょうか。
また本来の彼女の歌声も、このヴァニエ夫人向けに書いた作風に合っていると思いました。
課題:ブレスによるお腹と声帯でとりなす声の支えを得る、ということはとても大事な技術的要素です。

MNN 

チマーラ「郷愁」
チマーラ「ストルネッロ」
チレア「アドリアーナ・ルクヴルール」より「私は創造の神の卑しい下僕」

イタリア的叙情に満ちたこれら3曲それぞれの美点が余すところなく表現できていたと思います。
音楽と本人の相性が抜群に良かったと思います。
課題:ソプラノとしての十分な技術力を持っていますが、もっと成長したいのであれば、歌のジャンルやレパートリーを広げることに挑戦すると良いでしょう。

GH GHさん

越谷達之助 「初恋」
トスティ 「漁夫は歌う」
シューベルト 「竪琴弾きの歌 第一」

年齢を感じさせない若々しい歌声で、それぞれの作品を丁寧に歌っていました。
音楽に対する感性が純粋であるためメロディを気持ちよく歌おうとする意識が強いのでしょう。
また歌詞についても正確に丁寧に語ろうとする意思を感じさせるものがあります。
課題:もう一段太い弦を使った発声法を会得できると、さらに深みのある良い声質になると思います。

HA HAさん

「ジキル&ハイド」より「あんな人が」
アルディーティ「くちづけ」

前日のレッスンまで、ミュージカルナンバーの声の扱いに悩みましたが、ほぼ解決した結果となりました。歌詞もよくわかるミュージカルらしい歌声が楽しめました。
「くちづけ」は何度も歌っているだけあり、安心してこの歌の特徴、良さを楽しむことが出来る演奏でした。
課題:ミュージカルナンバーを歌うためにも、低音~中音域にわたる地声の使い方を覚えると表現幅が広がりますし、声楽的にも声量が増して強い声に貢献するでしょう。