ハミングは、声帯の合わさりとか実際の声質を訓練することよりも、喉頭の引き上げと引き下げのバランスを上手く行うことにおいて有用な練習方法です。

引き上げ筋の働きは、中低音の発声で重要な意味があります。
中低音の出しやすい音域、特に低音においては、喉を無意識で下げようという方向に傾くものです。
このため、中低音の発声は胸声傾向に陥りやすく、明るい音程の良い響きが得られないことが多いです。
特に女声の場合、低音域の換声点近辺で地声になりやすかったり、息漏れが多くなる場合、有効な練習方法となります。

このような理由において、ハミングの発声練習による、日常的な訓練は有用である、と考えています。

以上のようなことであれば、母音発声でも出来るじゃないか?と思われるかもしれません。
しかし、母音発声は、日本語母音の癖が素直に出てしまうため、地声になりやすい人あるいは息漏れが出てしまう人などには、その調整のさじ加減をつかみにくいのです。

母音の癖から離れた方法であることで、より発声器官をコントロールする感覚に純粋に近づきやすい、ということも、ハミングの練習が有効であることの理由です。