TA

ロッシーニ「約束」
中音域の声が♭気味の印象がありました。
その割には、声を明るくするために、喉が浅い(緊張した)印象がありました。
解決策は、中低音発声で力まないこと、軟口蓋を良く使って口腔内の共鳴を利用するように歌うことで、自然に明るく良く響く声になるでしょう。
喉そのものの感覚から離れて、軟口蓋と息を良く使って頭部の響きを使うようにすることを薦めます。

軟口蓋の共鳴を使うためには、喉が適度に下がっている状態で、軟口蓋を上げて、鼻腔辺りに声の響いている息を入れるイメージです。
声そのものでやろうとすると、鼻声になります。

アドリアーナ・ルクヴルールから、アドリアーナのアリアIo son l’umile ancella Genio creator
これも「約束」と同じ課題と思いました。
特に中低音は、口先で明るくする必要はまったくありません。
高音の入りは、細く入ってクレッシェンドする方法を取ると、ピッチの良い高音になるでしょう。

この曲に限らないですが、おおむねフレーズの入り、声の出し始めが太すぎる傾向があるため、中低音は♭になり、高音は分厚すぎる傾向が出ます。
それでも、高音はドラマティックな輝きのある声がありますが、やや胸声の傾向が強いのではないかと思います。
アタックを丁寧にして、良いピッチで細く綺麗に歌う表現が良いのではないでしょうか。

ルーセルの歌曲、Reponse d’une epouse sage
フランス語のディクションは良く出来ていますので、むしろ語り口よりも、レガートに歌う方がこの曲の静かなポエジーが良く表現出来るでしょう。
良いピッチときれいな、みっちりとしたレガートで旋律を淡々と歌ってください。

オペラ座の怪人からThink of me
最初に聞いた印象は、声が浅く子供っぽい印象でした。
悪い意味で日本人的なカタカナ英語の唄、という感じでした。
喉をもっとリラックスさせて自然に落とすことで、深みのある声になるでしょう。
慣れないと、多少声が暗くなる弊害もありますが、まずは喉がリラックスした状態で声を出すことが、大前提だと思います。
その上で、声の出し具合を口の前などに意識することで、響きを明るくすることが出来ます。

口を開けて深くするだけだと、暗い声というのであれば、母音をIにして、練習して見て下さい。
ただし、Iは口を横に引いてはいけません。丸い口でやると良いです。

声質そのもので明るくとか細くとか、表現が?などを考えないで、基本のフォームがどうあるべきか?を先ず確立されることを勧めます。

OM

コンコーネ6番と13番を練習しました。
13番は、全体に中低音に響きが厚く、高音部の響きは弱い(薄い)感じでした。
明るい元気印の曲なので、高音ほど響きが明るく前に出るような歌声にならないといけません。
また、大ざっぱにソプラノやテノールの声のキャラクターとしても、基本は明るくはきはきした歌声です。
コンコーネのこのような古典的なメロディで、この明るくはきはきした歌のスタイルを身につけてください。

それは、歌声だけではなく、マルカート、という記号を歌う時においてもです。
マルカート記号が入っている箇所は、鋭く打つようにはっきりしてください。
6番は、小さなアリアのようなスタイルで、中間部にヴァリエーションのようなメリスマの旋律が挿入されています。
このメリスマで、安定した声の響きと、メロディラインの歌い方を徹底しました。

フォーレの「私たちの愛」
この曲も、2点D~Eくらいでファルセット傾向でした。
ブレスとお腹の使い方に足りない点があるのでは?と思います。
お腹は拡げるように、あるいは腰を膨らますようにして声を支えて下さい。
特にチェンジ前のファルセットになる当りです。
これで、素晴らしく良くなりました。
張りのある明るい声で歌うためには、低音は響かせずに高く集めておくことで、高音にチェンジを意識しないで入れるでしょう。
そうやって歌い通すと明るく張りのある音楽になります。

モーツアルトのコンサートアリアAh se in ciel.benigne stelle
チェンジ以降の高音域がややファルセット気味になるのは構わないのです。
ただ喉の感覚だけで歌うと、ファルセット気味の高音発声は、声の支えが足りないため、ブレスが持たずフレージングが出来ないですし、
聴いていても、高音のメリスマなどの表現がふがふがしてて、音程やリズム感の良く判らない音楽になってしまいます。

高音域の特にメリスマの細かい音符を歌い廻す時には、息の使い方が判らないと、細かい音符を表現出来ないです。
この場合は、イメージで云えば、弦楽器よりも管楽器の使い方に似ていると思います。

今回はHを混ぜるようにして(Hahahahaという具合)息を軟口蓋に当てるイメージで細かい音符を表現することを練習しました。
もちろん、最初はゆっくりからです。ブレスが足りなくなればカンニングブレスを入れて良いのです。

この発声法は絶対ではなくて、人それぞれの喉によります。ファルセットを意識しなくても、喉に負担なく出来る人もいますが、
彼女の場合はファルセット気味の方が良いと思います。その代り息を関与させて共鳴を良く使えるようになって下さい。