NY

最終的にはテノールとしての良いポイントを出して歌えるようになった、と思います。
欲を言えば、中低音はもう少し細くしなやかな声質になると良いですね。
やや、喉が上がり気味で、息で押した声のような感じがします。
び~んと響いている。

び~んではなく、つ~んと響く感じ、といえば良いでしょうか。
冗談ではなく、バイオリンの弦でも、ぎ~っと鳴るのではなくぴ~んっと鳴る感じでしょう。
この違いです。
胸声だけれども、エッジが細くしなやかな響き、というイメージです。
これを中低音から作っておくと、高音の声区に入っても自然に綺麗な高音の声になるでしょう。
このためにハミングは良い練習ですが、気を付けて欲しいのが鼻声にならないように。

曲はフォーレの「ある日の詩」3曲から始めました。
良く歌えていると思いますが、フランス語の鼻母音には気を付けてください。
Nが発音されてしまうとおかしいです。
イタリア語になってしまいます。

久しぶりにシューベルトのAuf dem Stromを通しました。
これはホルンとの掛け合いで、シューベルトらしい組み合わせですね。
恐らく彼の声がこの曲くらいお似合いなものはないでしょう。
若々しい純粋さが、良く出ていて、それが自然に歌になっていると感じられました。

後はヘンデルのオペラアリアやメサイアのアリアなどを練習しました。
特に発声について、発音について、という細かいことは何も言わず、ひたすら歌ってもらいました。

歌い進むに連れて、先程書いた中低音の声はしなやかな響きになって行ったと感じました。
高音を良く歌ったせいで、喉が温まったのでしょう。
逆に言えば、喉が温まらないうちは、中低音を無意識に鳴らそう、とはしないで、高音で喉が上がらないこと、
だけを意識すると、上手く喉が温められて行くでしょう。
発声練習する時間がない場合は、意識して見てください。

NS

発声については、微妙な違いが大きな違いだな、と感じました。
例えば、声の基本の場所はもう少し低く重くあるべきではないか?
あるいは、声はもうし前に持って行くべきではないか?などということです。

声帯の長さを充分使い切ることや、声の出し始めでも良く閉じて発声すること、という2点を基本に考えれば、
結果的にもう少し声が明るい声になるはずだし、声の芯の太さがもう少し太くなるであろうと思うのです。
この2点について、ややもすれば、何となく出して軽やかに楽になってしまわないか?と言う点に拘ってほしいです。
無理に重くするわけではない、作った声で重厚、と言う意味でもなく、です。

今日のフォーレで練習した点は以上の声のことと、テンポ設定、ということになります。

Spleenは、内容のせいで声がこもったのか?判りませんが、特にoeの発音がこもり易いです。
それは明るいOの母音も同じで、恐らくOの母音に起因することだと思います。
後は、基本的なポイントを抑えた上で、表現としてのダイナミックの起伏を強く持たせると効果的でしょう。
それはピアノに導かれると良いことだと思います。

ただ、歌詞を歌うという意味においては、ピアノに乗っからないで自分の意思で歌い進むこと、言葉を発音する明快な
意識を持ってください。

Au cimetiereも同じです。声の自然な重さ、ポイントの微妙な低さと、テンポです。
慟哭とか、悲壮とか、憂いとか、そういうものを、歌手もピアニストも、心でやはり感じて演奏するしかないです。
そこからブレスもひいてはテンポも生まれてくるのではないでしょうか?

Greenは、テンポが重すぎてしまいました。
のんびりしてしまいました。ロマンティックというよりも若々しい情熱を出すべきでしょう。
抑揚の差をはっきり出すと良いでしょう。
高音は、明快に出す方が良いでしょう。
ただ、ReveなどのEの母音は喉が上がり易いので要注意です。

A clymeneは、テンポの意味が健康的過ぎました。
もっと暗い心の中を見つめる視点がほしいです。
もともとセレナードでありバルカロールなわけですから。
2点Fisくらいから上になったら、あまり開けすぎないで、喉が上がらない発声を意識すると良いでしょう。
深みのある冒頭のモチーフの低音、中患部の輝かしい高音、哀しみを湛えたPPの最後の声、を大切にしてください。