OM
伴奏合わせでした。
声のこと、歌いまわしについては、今まで良く勉強したので指摘することは少なく、Bleuの発音くらいでした。
細かく見ると、まだいろいろありますが、今は伴奏とのアンサンブルをよくすることが先決です。

伴奏者が直前で交代になったので、伴奏のテンポ設定の調整になりました。
伴奏自体が一つの作品のような、歌曲作品なので、伴奏者が歌手を気遣うだけでは、良い演奏になりません。
伴奏者自体の、強い音楽的なイメージが必要でしょう。

1曲目の「夢」は、出だしの下降形のアルページョのテンポ。彼女のイメージよりは、かなり早く軽やかなイメージを指示しました。
また、一つ一つの音の粒立ちももっと明るくきらきらとすると良いと思いました。
あとは全体のテンポの変化を改めて確認。
もっともだい時なのは、中間部のダイナミックなフォルテで演奏されるAnime et en augmentantの指示からのところです。
ここは、歌手がリズムが分かり難いポイントを気をつけることと、同時にピアノとしてのドライブがかかった音楽表現の両方が必要と思います。

「花」は、「夢」よりも音楽がシンプルなので、特に難しさは感じませんでした。
気を付けてほしいのは、汽車が走って車窓から外を眺めているうちに、自ら夢の中に入っていく中間部、ou mes pensees tristes からの箇所。
テンポ指示は変わりませんが、リズムは自然にゆるんで、次の節のmoins vite(よりスピードを遅めて)につないで行くことです。
後半、一瞬テンポが再現しますが、またゆっくりとなり、眠りに入っていきます。
この部分は、歌手さんの歌が丸裸になるので、テンポを丁寧に紡いでください。
テンポが揺れないで正確にゆっくり歌わないと、表現がきれいに行かないです。

FT

10年頑張ってやり続けただけあり、とうとうアリア「星は光ぬ」を、きれいに歌いとおすことが出来るようになりました。
ブラーヴォ!
かつて勉強したときは、前半のレシタティーヴォ部分も、リズムがぐちゃぐちゃでしたが、これもきっちり合うように練習されていました。

トスティのL’ultimo bacioも、危なげなく演奏できました。
高音は、良く張れていますが、決して無理がありません。

何が良いか?というと、中低音でいわゆる喉をしっかり合わせて吠えるように声量を出す癖をなくし、無理なく歌っていること。
また、かといって喉も必要以上に高く緊張させていないことでしょう。
高音発声そのものも、微妙に声量をコントロールしているように思えます。
100%出しきらないで、少しだけ余裕を持たせるクールな感覚が、この成功を導いたのでしょう。

この調子を続けてください。

最後の日本歌曲「初恋」も大変良く歌えていました。
中間部のフレーズは、二分音符が短め、あるいは明らかに短くなる傾向が見られたので注意してください。

KBY

非常にきれいに丁寧に歌う方だと感心しました。

惜しいのは、高音のチェンジで声が引っ込んでしまうこと。
これは一つの癖ですから、矯正していくためには、自意識と根気がいるでしょう。
しかし、これが絶対に悪いともいえない、一つのキャラクターと捕らえることも出来ると思います。

Batti batti o bel masetto
特に問題というほどでもないですが、2点Eになると、急速に白い声になる点をどう修正するか?ということを見ました。
大体が、口を見ていると、開かない口の歌い方になります。
よく言えば、顎に力みがないです。
恐らく、開けない発声の理由は、喉事態で調節をすることが多いのでしょう。

それは、声のチェンジ領域の発声にに関して顕著です。
口を開けないで発声することで、チェンジになると声帯を開く方向に喉そのものでコントロールしているように思われます。
ですから、結果的に、これもよく言えば声帯をあまり張らない発声と言えるでしょう。
ローリスクですが、逆に言えばそれが前に出ない、白い声になる理由です。

これを改善する方法として、鏡を見ながら上あごを持ち上げるように発声する方法を教えました。
喉に注意が行く発声を、軟口蓋側を良く使うためです。
これだけで、かなり声質に色が付いて血色の良い声になりまいた。
具体的には上唇を上に持ち上げるような意識でも良いでしょう。
歌詞の発音と共に、練習すると良いでしょう。

そして、Vanne o rosa fortunataでも、同じような点を練習しました。
発音記号のUは、下顎をあまり下げないで鼻腔で発声するようにしたほうが、
後半のさびの頂点の2点FMorteの母音Eは、声を前に吐き出すように出せばよいのですが、何か怖いのか?
どうしても声を引いてしまいます。
これが改善されれば、完璧です。