2014年9月24日レッスンノート

MYM

発声練習は、ハミングからmimimi そして応用でmamamaと練習し、最後にjajajaで終わった。
想像通り、jajajaは、軟口蓋が発声に関与する度合いが大きい。

この方法でわかることは、口奥のあくび状態の必要性と、声の共鳴ということが、声楽発声の基礎になること。
jajajaで良くなる意味は、軟口蓋の使い方が自然に共鳴を誘う状態になるからだと思う。
もちろん、下あごに力を入れないようにするために、動かさない状態を保つことも必要。

逆に見て、mimimiはどういう発声的意味があるか?というと、低音発声時に胸声成分をなるべく出さずに、良く響く声を誘発させる要素がある。

人によっては、この発声方法だけで自然に換声点の発声が上手く行く人もいる。

ただ、MYMさんの場合、この換声点発声が難関であった。

それは、jajajaの発声で比較的上手く行くことからも、軟口蓋の使い方が慣れていないせいである。
軟口蓋の使い方について書くとき「軟口蓋を上げる」というより「軟口蓋」で歌う、という方が実際に近い表現であると思った。
あるいは、軟口蓋を上げるというよりもむしろ「軟口蓋を閉じる」だろう。

というのも、上げると意識したり、開く、と意識すればするほど、日本語発声の「ア」という母音発声の癖が頭をもたげてくるからである。

日本語発声の「ア」の発声は、いわゆる「アぺルト」な発声が前面に出やすい。
このため、発声に未熟な人だと、高音発声が叫び声に近くなってしまうのである。

ここから発想したこととして、特に換声点近辺においては「ア」を意識することは厳禁とした。
そして、痰を吐くときに感じる軟口蓋、あるいは子音のKを発語する際に感じる、軟口蓋を半分閉じたような意識で発声すると、半分母音のような、半分ハミングのような、K~あるいはG~のような感覚で
発声すると、非常に上手く換声するのである。

または、響きを軟口蓋から後頭部に向かって飲み込むような感じ、とでも言おうか。

これらのことを意識して、「平城山」から練習を進めていった。

冒頭の低音発声時から、上あごから軟口蓋への響きを意識していないと、高音の換声点の発声が上手く行かなくなる。やはり両者には連携があるのだと思った。
このために、顎を引く姿勢が非常に重要。この辺のバランスの持たせ方こそが、声域による発声の違い、声質の違いと関係がある。
低音発声としては、一見、鳴らない感じがするが、ピッチが高いから良く通る響になるのである。

母音のIも、換声点付近で苦手なのは、声帯が太く当たりやすいからであろう。
胸声領域では、むしろメゾ的な響きにもなりうるので、一見良く響いている感じがするのだが、この一見良く響いている感じ、というの曲者である。

この場合、単に良く響くというよりも、むしろ喉の抜けが良い感じ。
息が良く通る感覚、を主眼として発声の響きを作るべきである。

「霧と話した」も、高音発声は十分気を付けてほしいが、この曲は冒頭のメロディのテンポ感が主眼となった。
前奏の8分音符の和音が続く響きは、テンポ感よりも、霧の漂う感じを表すため、テンポよりも、流れを大切にするべきだろう。
それに対して、歌の出だしそのもので、テンポを決めなければならないので、前奏に引きづられずに、歌手自身がテンポをしっかり定めるべきであると思う。

トスティの「4月」は、難関だったが、さすがに練習を重ねただけあって、今日はあっけなく、難関を乗り越えることが出来た、と思っている。
今度こそは、再現性があるだろう。
5点EでPPとFFで2回続く、E L’aprilの発声。
L’aのaの発声は、軟口蓋で歌えるが、次の母音のIが曲者。特に2回目の強声で歌うと、Iで響きが落ちてしまう。

このA→Iという母音の変化に十分注意を。
鼻腔に入れていくような感じだ。
要は、発声時に息が自然に流れていく(スースーする感じ)がないと、音程が落ちると思って間違いない。

5点Gの頂点に向けて昇るフレーズは、息が流れているので大丈夫だと思う。
声を鳴らそうとするのではなく、息を流すこと。
そのための軟口蓋発声ということ。