OM

発声の基本フォームを、低くすることを指摘しました。

換声点の発声の課題は未解決で、これが解決すると、中高音の響きに芯がつき、良く飛ぶ声になると思います。
現状は、レッスン室で聴く限りは明るく良く響いている感じがしますが、ある程度以上広いホールになると届かないのです。
最高音域は、5点Aくらいから、再びチェンジしますから、中低音が今より重くなってもまったく心配はありません。

むしろ、5点Fの換声点の発声を改善することで、通常歌うオペラアリアの、ほぼ全域の声が、一段声量が増すでしょう。
それから、基本的に換声点で喉を上げない発声になることで、全体的に子供っぽい声の様相が改善されます。
現状は、中低音は良いとしても、換声点になると、とたんに喉が上がった声になります。
高音域でファルセット傾向の発声に無意識でしているため、です。

もう一点、実は発声以上に彼女の歌における大きな課題ですが、歌う歌うときに、音符を読む以上に歌詞を読み込むことが重要になります。
これは、演技と言っても良いですが、作曲家は、根本的に歌詞が表現している世界を基に音楽を作っていますから、歌い手も同様に、歌詞が表現するものを、言葉として語れることが出来なければなりません。

いわば朗読ですが、朗読で言葉の世界を表現出来ないのに、上手い歌は歌えないのです。

たとえば、芝居の世界でセリフを棒読みしていては、芝居が成り立たないことはわかると思います。
歌の世界もまったく同じで、歌の場合は、音楽は舞台装置であり歌詞が役者、と思ってください。
舞台装置だけ良くても芝居が成り立たないことが解ると思います。
極端な比喩ですが、これは間違いない事です。

これは、単に発声という側面だけでは捉えきれない、重要な要素であることを判ってください。
外国語の歌を歌うときに、その外国語を良く理解していなければいけないのは、同じ理由によります。

今回、特に指摘したのが、山田耕筰の「松島音頭」でした。
単に子音の出るタイミングが・・という話よりも、この詩が表現している、活き活きとしたパンチの効いた語り口を
実際に朗読できないのに、歌になった時だけ上手くやろうと思っても、天井から目薬を差すくらい難しい事ではないでしょうか?。
これからは朗読の練習も、ぜひ加えてください。

TSS

このところ続けている発声のフォームの変更を徹底しています。
気を付けてほしいのは、喉そのもので喉を落とすのではなく、ブレスを胸でしないで腰ですることと、声を出だす時に、そのブレスを入れた場所を意識することです。
ブレスした時から、舌根で喉を落として発声すると、声帯が合わない暗い声になりやすいのです。
上手く行くと、丸くないエッジの効いた声質になるでしょう。

この発声で一番問題になるのは、やはり中低音です。
なかなか声帯が合わず、地声か裏声か?という声区の分離が強いです。

なるべく母音のEを出す感覚に集中すると、Aなどの後舌母音でも、低音の響きが出せるようになってくると思います。
これは次回やってみましょう。

「早春賦」は、ほぼ完成と言ってよいでしょう。
強いて言えば、声質がもうすこし明るくなれば、完璧です。
喉を開ける発声だが、母音Eのような感覚、といえばわかるでしょうか?

ロッシーニの「約束」声の共鳴よりも、今は練習中の基本的なフォームを守ってください。
高音は、共鳴よりも声を吐き出すようにしてください。
中低音は、これも母音Eのような発音感覚で、喉を開けた発声ということです。

ヴェルディのPaceも、同じく、発声の基本フォームの確立が主眼です。
最初のPace…と歌う発声も、ブレス時点で舌根で喉を押し下げて構えた発声をしないこと。
低い場所で軽くブレスをすることで、喉は必要なポジションが取れるはずです。
そして、Paという発音・発声の瞬間、いわば声が当たる瞬間に喉を拡げる、ことを覚えてください。

IM

発声は、一歩一歩ですが、確実に前進していると思います。

今日のトピックは、音程を跳躍させる時には、口をもっと開けてみること。
そして、声の出し始めを頭部や軟口蓋ではなく、もっと低い場所に意識を持つこと。
以上の2点です。

こちらのレッスンに来る前の時点で、軟口蓋に意識が強く行き過ぎた発声を覚えてしまったために、喉が下がらずに高音は締まるし、中低音は息漏れでスカスカになって息が苦しい、という状態だったと思います。

今、すぐ目の前に見えていることは、単純に喉から下を意識した発声に徹してみることです。
低音は地声でも良いくらいです。
一言で言えば、もっと喉を使うこと、喉に意識を持つこと、です。
そして、基本的にもう少し口を開けた発声をしてみること、です。

トマの「ミニョン」から「君よ知るや南の国」低音で早口で語るような箇所がありますが、まずリズムを正確に把握しておいてください。そしてリズムとフランス語の関係を、間違えないように気を付けてください。
低音は、彼女の場合は難しく考えずに、もっと喉を使って声を出す意識で良いでしょう。
高音は、前述のように口を開ける発声を覚えてください。
もちろん、基本的なフォームとして、ブレスから声の出し始めで低い場所を意識することです。

最後にイタリア古典のO del mio dolce ardorを練習しました。
この曲の持つセンチメントが、何か彼女の心にぴったりのものがあるようで、多分、持っている技術以上の力を出せるような要素があるのではないでしょうか?