MYM

ハミングでピッチの良い中低音の発声を行うことで、換声点も同じように声の芯を残しつつ、チェンジして行く方法を、
ハミングで練習しました。
このあと、母音に変換してから、換声点から上にかけての練習をすると、やはり喉で突っ張ってしまいます。

発声理論的に対処するのが難しい、と判断し、イメージ療法を試みました。
お腹周囲をくすぐられると、横隔膜が上がる感じがすると思います。
このエネルギーを使って高音に飛ぶ、という方法です。
言い換えれば、お芝居で笑うとき、それも高笑いとか、くすぐられて大笑いする感覚を利用して、高音を出すわけです。

この方法が大成功で、きれいに高音の5点GやAが出せました。
このことで、本人に判ってほしいことは、いかに、息を下に踏んばるようにして喉を固くして高音発声をしているか?ということです。
この笑う方法は、何でも応用できるわけではないですし、このこと自体が発声法とは言えないですが、この時の状態がどういう身体の状態なのか?を覚えること、繰り返してやってみることで、他の高音発声をするフレーズに自然に応用できると思います。

ヴェルディの「仮面舞踏会」から、オスカルのアリア。
まずイタリア語を読み、母音で歌ってみました。
高音発声や、その前段階の換声点の発声が未解決ですが、思い切って歌うことで得られる、自然な発声の技術もありますので、喉に無理がなければやって見る価値はあるでしょう。
低い音域の曲と合わせて、練習して行ってください。

このあと、オペレッタ「こうもり」のアデーレの「侯爵様、あなたのようなお方は」を、ざっと通してみました。
日本語歌詞です。
これも「仮面舞踏会」と同様、課題は満載ですが、むしろ細かいことに拘泥しないで、歌い通すことを何度もやるうちに、
自然に高音発声や、換声点の通過の発声を覚えるきっかけになるかな?と思いますので、これも喉を痛めない範囲で練習をする価値はあるでしょう。

今日の発声は、特にトゥーランドットの「氷のような姫君の心も」に相当な時間を割きました。
ここでは、最高音域の発声より、むしろ換声点近辺と、中低音の発声が主になりました。
いずれも、最小限の息で歌う発声、を教えました。

彼女の歌い方を見ていると、無意識でしょうが、息を筒に吹き付けるようにして、声を出している感じがします。
今回教えたことは、息を強く吐かないで、むしろ喉を使うことに集中してもらいました。
そのきっかけは、まずフレーズをスタッカートで歌うことです。
特に5点F辺りの音を、スタッカートで綺麗に強くなく、小さな声量で良い音程で当てられるかどうか?
お腹を積極的に使うより、喉で切る、という言い方をしますが、お腹を強く押さないことがコツです。

ヴァイオリンのスタッカートを見ると、弓を上下に大きく動かさないで、小さく小刻みに動かすでしょう。
あれと同じ感覚です。
管楽器よりも、弦楽器の音の出方をイメージしてください。
息の強さで音程を上げるのではなく、弦の擦り方すなわち喉の小さな使い方で、音程はきれいに出ると思ってよいです。

このスタンスを徹底して、中低音のフレーズの声の出し始めも、換声点近いフレーズの声の出し始めも、徹底して練習しました。
息を大きく使わないで、最小限の息でスムーズに声を出し始めることが、とても重要であること、覚えておいてください。