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伴奏合わせでした。
発声練習も下降形で始めましたが、とても良い声が出ており、幸先の良いスタートとなりました。

フランス歌曲のプログラムも、サン・サーンスのSi vous n’avez rien a me direは、軽やかなピアノ伴奏とそのテンポに上手く乗って、軽やかな歌声は
以前のようなフランス語発音の不明瞭さが消え、明快で爽やかな歌声になりました。
声のフォームのポジションが良い感じです。
発音では、語尾のあいまい母音が暗すぎることと、Eの鼻母音がAの鼻母音と同じになっていることだけ、気を付けてください。
語尾のあいまい母音を歌うとき、発声的な理由でしょうか?口をすぼめようとする癖があり、それが暗く細くなる理由だと思います。

デュポン作曲のMandolineも、ピアノ伴奏の可愛らしさと彼女の歌声がぴたりマッチして、良い演奏になりました。
フランス語も明快でした。
途中、Piacereの指示があるところ、ピアノが無くなりますので、次の始まりをピアノと上手く合わせられる様に、ゆったり落ち着いて終わらせると良いです。

ラヴェルのSainteは、彼女の声のポジションがまた上がってしまいました。
中音域の歌声で、音程を気にするせいか?ポジションが上がってしまいます。
特に母音のAで歌いだす、冒頭の歌い出しの発声のポジションが上ずらないように気を付けてください。
また、高音域のフレーズから、休みを挟んで中低音のフレーズに入る時、ポジションを低く戻して、あたかも弦楽器の弦を太い弦に代えてボーイングするイメージを大事に持ってください。
特に、最後のフレーズ、Musicienneで始まる声に注意してください。

三善晃の抒情小曲集は、1番がピッタリよかったです。また、4番もイメージが良かった。
2番は、現代的な音ですから、歌詞のテニヲハだけ、明快に客観的に歌う方が良いでしょう。
また、3番も、詩中の主人公になるのではなく、もっと冷静に見ている他人の目に映った景色を歌う感じが良いと思いました。
最後の曲は、これも2番と同じく、現代的なサウンドですが、表現のニュアンスよりも、歌詞のテニヲハが明快であることを、主眼とすると良いです。
一点、サビの部分の「死んでしまったら」のフレーズだけは、音楽からはみ出すくらいの方が、良い演奏になると思います。

彼女の課題の発声は、声のポジションが高くなり前に集めすぎることでしたが、今回、その点がかなり改善されました。
今後もこの点、十分留意されてください。
ピアノ伴奏の音とご自身が歌うト音記号の音質の近似点という観点を以て、自分の声のポジションを考えれば、ハーモニー感という面でも、その重要性が判ると思います。