2017年5月16日声楽レッスン

MYM

発声練習は、特にやり方を考えずに様子見となりました。
何も言いませんでしたが、見ていると喉側に低い共鳴が出来るような口の使い方ですが、
おとがいを強く押していないので、喉が温まると換声点の通過がほぼほぼ良い感じになっていました。

ドナウディのO del mio amato benをざっと歌ってもらいましたが、やはりいつものように換声点前辺りからおとがいを力ませて、喉側に深い共鳴のある発声をします。
これが、なぜ良くないか?というと、一言で言えば息を余計に使う発声になることと、響きがくらくなり音程が♭に感じる発声になる、という2点です。

イメージですが、もっと声帯自身が自然に閉じて良く振動する感じを持てるようになること、です。

このやり方として、ハミングで響きを鼻腔に意識して発声することから、母音のIへ、そして今日はAに行かずに、Uにしてみました。
Lの子音を入れて、Luで練習しました。
この方法で、Vaghissima sembianzaを練習しました。

最初のフレーズを歌うときに、低音のVaから始めて、いかに息を余計に使わないで滑らかにフレーズを歌うか?という点に徹底集中します。
Vaからghiに映る時、母音のAから舌を滑らかに静かに動かしてGの子音を発語する際に、響きが途切れないようにする事。
この集中だけでも、息を余計に使わないで済むわけです。

このように、フレーズを歌う際に、子音の発語のための舌の動きや唇、そして下あごの動きに細心の注意を向けて、息を余計に吐き出さないような集中を大事にしてください。
特に、下あごを降ろさないようにすることと、子音の発音をきっかけに母音の響きが綺麗に無理なく出ることに集中してください。

イメージを話しましたが、弦楽器の弓で弦を擦ると、弦が振動を始めだせば、それ以降は弓を必要以上に押し当てなくても弦は振動し続けることです。
これは、管楽器のマウスピースと唇の振動の関係にも似ています。
また、リード楽器のリードと唇、そして息とで作り出す響きの在り方にも似ています。

いずれも、呼気圧と振動体とで作り出す、ある種の自動振動みたいな状態ですね。
これは、絶対に余計な強い呼気を送ってしまうと、生まれない効果です。

滑らかに静かに、この振動が生じるように、最新の注意が必要なのです。

一つの鍵としては、発声アタック時の一瞬の息の止まり、みたいなものがこの効果に影響を与えるのだと思います。
子音の発語が有効になるのは、そういう点においてということでしょう。

子音の中で特にKの発音は、歯の近くではなく、むしろ軟口蓋で舌と軟口蓋の摩擦で出来る、と感じるほうが、声帯の振動には有効だと感じています。

つまりフレーズの入りで声の響きが決まれば、あとはその響きを壊さないように発音して滑らかに歌っていくことが重要なのです。

NT

久しぶりでした。
しかし、発声に関しては勘が良くなり進歩を感じました。

特に低音域での力みが少なくなり、地声っぽい感じがなくなってきました。

また、換声点近辺の喉のこわばりも軽減し、すっきりとした中高音発声が出来つつあります。

母音のIで発声を始めましたが、特に注意したことは響きを太くしないことと、口を横開きにしない事。

顎下のおとがいと呼ばれる部分に下方向への力みを持たせると、太く落ち着いて、一見声が安定した気がしますが、これは良くない発声です。
なるべく下あごではなく、上顎から上に響かせることを覚えてください。

そして、口を横開きにしない意味は、一見音程を合わせやすい明るい声になりますが、響きが浅くなり子供っぽい声になりやすいことと、更に高音に昇る際に障害になりやすい点が生じることです。

彼女も、MYMさんと同様に、Luを使って母音Uによる練習方法を取り入れました。

目的は声が前に出過ぎない発音であることと、鼻腔発声を取り入れやすいことです。
理由は下あごを使わなくても、発音しやすい母音だからです。

これがわかると、母音のAにも応用出来ます。
つまりAだから、といって、下あごから下に向けた喉の動きをする必要はない、ということになります。

むしろ、母音の響きは軟口蓋から上に響かせる意識を持つことです。
これを覚えると、高音発声にもつながりやすくなります。

曲は團伊玖磨の「花の街」から。

彼女の歌では、発音を明快にするために、口を縦横にはきはきと良く動かすことが、発声においては余計な動きになりがちです。
特にオの発声でそうです。

母音発声は口の形の変化ではなく、口の中の舌の動きのみであること、を声楽の場合は重視します。
なぜなら、そのことで母音の違いによる声の響きの変化の大きさをなるべく小さく出来るからです。

響きの変化を小さくすることで、声が滑らかに感じます。
また、音程跳躍に際しても、口の動きを滑らかに最小限にすることで、響きが滑らかに感じられるでしょう。

この「花の街」は、特に低音時の声の滑らかさ、フレーズの滑らかさが、曲の感受性に影響を与えます。
この点が要注意な曲です。

次の「浜辺の唄」は、全体に滑らかに美しく歌えたと思います。雲の様よ~と歌うときに、Kの子音は、軟口蓋で発するように気を付けてください。
また、母音の響きは鼻腔方向へ入って行くように意識してください。