TH

発声練習もそこそこに、4月10に予定している発表会の曲決めを中心に進めた。

すでに、今期はヘンデルのアリアPiangero la sorte miaとベッリーニのアリアOh quante volte、
モーツアルトのDove sonoいずれも、完成度の高いレベルまで達している。
そして前回からプッチーニのInquelle trine morbideを始めた。

このプッチーニの短いアリアは、とても良く歌えているので今回のプログラムに決めたが、他にやりたいものがある、とのことで、モーツアルトのDonna AnnaのアリアNon mi dir bell’idol mio
,ヴェルディのエルナーニのアリアを取り上げた。
この2曲は過去にかなり練習していたが、久しぶりで間が空いたため譜読みレベルからの間違いや声の調子が乗らないことも実感したであろう。

結局、本来のヘンデル、モーツアルト、プッチーニの3曲に決定した。

彼女の声は頭声がきれいに決まった音程感の良い声であり、高音もバランスが良い声を持っている。
しかし、聴いている側からすると意外な程に喉が疲れやすいタイプである。
この疲れやすい原因は、高音発声にある。

本人が思っているより声を張って出す傾向があること。
それは、張らないと喉が上がってしまうからだろう。
もう少し声を当てるポイントを小さく細く考えるべきではないか。

OM

オペラ養成所の試験ということで、コジ・ファン・トゥッテのフィオルディリージのアコンパニャートの練習に励んだ。
怒りの表現の中にも、感情の変化、それは狂わんばかりの怒りから情緒的な涙を感じる物まで、幅があること。
それは、音楽のちょっとした変化に表現されている。
この点をまず良く意識してほしい。

具体的にはメロディを歌うというよりも、歌詞の発音の力強さや声を飛ばすように語る技術などが必要になる点。
そのための子音発語であるし、音符を母音の響きで歌おうとし過ぎれば、どんなに声量があっても飛ばない声で、歌詞が不明瞭になるだろう。

そこで結局は、子音→母音という発声の基本が重要だという結論になる。
当たり前のようでいて、日本語話者、特に女性の場合音域が高いため、どうしても子音→母音という回路が弱くなり、
子音と母音がまざったような発声になってしまうことが多いものである。

これを修正するために、まず歌詞をセリフのように高く大きな声で良く読むことを練習。
その後譜面のリズムに合わせて読む練習。

威厳のある歌声が必用ということ。
声を前に出すだけだと、換声点辺りから喉の高い声になって子供っぽくなる。
前歯を唇で覆うように発声することで、奥に少しこもった声になると、結果的に男前?の堂々とした感じになる。
クラシックの歌は、貴族性とか、あるいは欧米の女性は日本女性のようになよなよしない強さが魅力であることが求められる。
そのような表現が必要な場面なのであろう。。。

最後に三重唱、と二重唱も練習。
彼女の発声の課題が垣間見える結果だった。

下あごを前に出して、共鳴を使うというか一見深い声で声量を感じるのだが、それは換声点までということ。
高音の声区に入ると、喉が高くなり頭声傾向が強くなる声である。
これは修正するのに、少し年季が要るだろう。