HA

Cosi fan tutteフィオルディリージの20番ドラベラそして29番のフェランドとの二重唱の譜読みに時間をかけました。
モーツアルトの歌唱は、良くも悪くも器楽的に書かれているので、譜面面は単純に見えて、難しい面があります。
特にリズムは、拍の数ときっちり併せて、数学的に確認する作業を怠らないで譜読みして下さい。
何となく歌って済ますと、間違うことが多々ありますので。

最後に、サンサーンスのAve maria
譜読みを散々やったあげくなので、声の調整が乱れたと思います。
そのことを差し引いたとしても、声のピッチを大切にすることで、
頭声の混ざった、ピッチの良い中音域の声を得ることが出来るでしょう。
おまけに、高音の声への自然なつながりが可能になると思います。

WH

今回久しぶりに彼女の喉の様子を観察しました。
歌いだしでも喉が上がらず、安定したポジションが美点、と思います。

結果的には喉の高さ自体は高めでやや浅い声質になっています。
理由はいろいろあるでしょうが、ブレス自体が浅いかもしれません。
もう少し横隔膜を拡げるように深くブレスをすると、良いと思います。

しかしこの喉の高さと声質の関係は、各人の資質や表現意思も影響があり、一概に言えません。
大事なことは、高音で喉が上がらないこと、締まらないことでしょう。
結果的にそれがクリア出来ているのであれば、ある程度高くても良いです。

ただ、あまりキンキンした声というのも、一見通るようですが、表現として適切でないことが多いです。
特にチェンジ近辺の2点E辺りは気をつけたほうが良いと思います。

発声のことでは他に、喉の位置は深くなるようにブレスをし、声の出だし高く当てる、ということを言いました。
このことで、結果的に声帯が前後で良く引っ張った、伸びた状態になるからです。

曲はOh quante volteと、O mio babbino caroの2曲を練習しました。
口を良く開けて、軟口蓋を高くした、いわゆる喉を良く開けた発声の方が、同じ声帯の響きであれば共鳴が出て良く響くと思います。
そのために、発音も意識して喉奥を拡げるような発音を意識して下さい。
例えばOhなどという感嘆詞も、良く喉を開けてください。

Oh mio babbino caroでは、例えば上の2点Asに入るBelloでは、Beの発音ですでに喉を開けていないと、上の声がきついです。
えいっと出さないでまろやかに入って下さい。
彼女の場合、えいっと高音に入ることが多いのですが、やや強過ぎる感があります。
常に滑らかに処することを覚えて下さい。

MM

WHさんの喉の状態を見たせいもあり、彼女も見てみました。
彼女の場合は音程上昇に応じて上がる傾向が残っています。
特に高音へのチェンジ近辺は要注意です。

また、下顎を自然に降ろす、というところで、下顎を降ろすことよりも、舌根の力の方が勝っているようでした。
舌根は力まずに、下顎だけ自然に降ろせる、という方向を見つけたいです。
次回でも思い切って降ろす方向を練習しようと思いました。
その方が舌の力みも逆に取れるのではないか、と思います。

曲はヴィヴァルディSposa son disprezzataから。
これは弦楽器をイメージしてもらいました。
それだけで歌声もフレージングも変わるのが不思議です。

大切なことは、余計な息漏れをなくして、最小限の息で最大限の響きを得よう、というイメージです。
喉を下げたり、軟口蓋を上げたりすることは、管楽器を作るためではなく、弦楽器の弦と弓の関係をもっともよい状態に
することだ、とイメージの転換をして下さい。

どちらも、弦を綺麗に張ることを意味します。
そして、声のアタック(声の出し始め)については、当然弓が弦に当たる瞬間です。

喉が下がって弦の片方を張ることが出来たら、声を出し始めで軟口蓋や高い所から出し始める意識で、弦のもう片方が張られます。
従って、声の出し始めを高く歌い出すことが重要だと言う意味が判るでしょう。
同時に、喉が下がっていることも、弦を張るためなのだ、ということになります。

そして後はMignon、最後にWallyをやりました。
Wallyは、高音が確か2点hだと思います。これに苦戦しましたが、LontanaのTaで直に2点hに当てず、一端Taで2点Eの同じ場所で
足場を作ってから昇る方法がもっとも有効な喉の上がらない方法になりました。
要するにTaを発音することが、舌の動きを誘発するために、喉が上がってしまうわけです。

フレージングの種類にポルタメントがありますが、これも単なる装飾的効果ではなく、喉という楽器を上手く扱う発声の一方法であり、それが
声楽の古典的なスタイルに表現されていると考えることも出来るでしょう。