HT

発声練習は低音1オクターブくらいに限定。
喉の自然な使い方が良い。
喉自体は、良いので、後はブレスでもう少し息が混ざると良いだろう。
声帯自体の響き感覚から脱して、空間で息と共に廻して響かせる感覚を磨いて欲しい。

曲は日本歌曲から北原白秋~團伊久磨の「秋の野」
シラブルではっきり歌うより、フレーズで歌う方が綺麗な曲だと思った。
それで、典型的なレガート唱方で、口先で発音しないで、いわゆる喉の開いた発声をお願いした。結構上手く行ったが、それでも日本語は充分分かる。
分かって歌っていれば、余ほど声に淫しない限りは言葉は判るように歌えるものである。

次に同じ北原白秋=福井文彦による「かんぴょう」
語呂の気持ちが良い、面白い曲である。
あっという間に終わるところも良い。
これは、良い声で歌おうとしないで、レガートも意識しないで、ひたすら「かんぴょう」という語感を活かして歌えば良いし、その方が面白い表現になるだろう。

最後に「愛の妙薬」から「人知れぬ涙」のバリトンバージョンを。
こちらはひたすら良い声を。
全体に良い声で歌えている。最後のカデンツは、特にそこに入る前のフェルマータと、最後のフェルマータをきちんと尊重して欲しい。
下降の細かい音も正確にお願いしたい。
なんとなく全体に滑ってしまっているから、まずはゆっくりと丁寧に正確に、ということである。