NY

今日は調子が良かったね。
発声から調子が良かったが、少し中音域が太いのが気になった。
中音域よりも、その少し上、1点Cから上になったら、息を良く伸ばして行く癖を付けて欲しい。
ただし、息を太くであって、声帯で鳴らさないように、である。

それにしても、彼は成長したと実感。
この1年間で、私が教えた中でもっとも成長した、といえそうである。

とにかく、バリトン系の中音域のまま高音を出す癖を、散々直してきて時間がかかりそうだったが、この半年間に、自身でも実感して練習してくれたのだろう。

前回のレッスンでもサジェスチョンした、中高音域から少しずつ子供っぽい声でも良いから、声を出す時に喉の力みを取るために、喉を少し高めにするよう意識してもらったことが、今日のレッスンでは非常に上手く出来ていた。

フォーレ「或る日の歌」から「出会い」
これが、最初少し力んでいたが、2回目からは本当にナイーブな声になって、そのせいで高音は力強く出せるようになった。ナイーブになっても、抜けるわけではなく、軽いのである。
軽いから、本人に余裕があって、旋律の音楽を歌っている意識になるわけだ。

愛の妙薬から「人知れぬ涙」
こちらも2回目から、テンポをゆったりさせても問題ない。
最後のカデンツは、昇りを速くして最高音を伸ばすこと。

マノンのEn fermant les yeuxは、前半の優しい、滑らかな表現は、とても良い。
喉の力みがまったくなく、柔らかい歌の表現になっている。
素晴らしいのは、そこから強い高音に向って昇れるところであった。

また、Ah fuyez! loin de moi! は1点Asが綺麗に共鳴する響きになってきたし、最高音の1点bも高音らしい、良い響きの兆候が出てきた。更に力みを抑えて、ペース配分が出来れば、充分ものになるレベルである。

最後にウェルテルPourquoi me reveiller,O souffle du printemps!
ここでも、1点Aisは確実で、安心である。全曲通すとさすがに喉がきついが、単品発表なら問題なく歌えるレベルだろう。
後は、本番の慣れではないだろうか?

全体に確実にテノールらしい声質、歌の表現になってきて、素晴らしい。
頑張ってきた甲斐があった。
まだまだ、高音は伸びるので、今の方向を間違わないで、確実に続けて欲しい。