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伴奏付きのレッスンだった。
Hahnのプログラム4曲だが、大過なく、どころか、とてもよい歌を歌ってもらえた。
以前に比べると、私が指摘したことを判ってもらえた、と思うのは、雰囲気だけで
何となく歌わないため、声が全体にきちっと響きを出せるようになったので、とても安定した演奏になること、である。

気をつけて欲しいのは情緒的になるがあまりに、ふ~っと抜いてしまわないように。
あくまで、どんな表現でも、声の響きを曖昧に、適当にしないこと。
このことに尽きる。
特に技巧的なことや、広い音域が要求されるわけではない、歌曲はなおのこと、響きを大切にして欲しいのである。

極論かもしれないが、表現しようとしなくても、きちっと声の響きを貫徹することと
譜面どおりに歌えば、音楽はお客さんが判断してくれるわけである。
音楽はそのように設計されている、と思う。

個別のことは、実は余りないのだが、高音だけは、せっかく出るものを、どこか反省してしまって、抜いてしまったり、必要の無いディミニュエンドしようとしたりするために、
中途半端な印象を拭えない。
とにかく思い切って出して欲しい。
それから、フランス物には良くある、高音への開放すべきフレーズにディにニュエンド記号がるところは、やらないで、思い切り出したほうが良い。声のためである。
コントロールが付くようになってから、譜面指示通りに実現して欲しい。

ピアノは今日も感心した。
慎ましやかな響きであるが、それが消極的なのではなく、精神的な音楽になっていると思う。
フランスらしさ、という意味では、このような音楽性が「軽やかさ」に通じているために、逆に精神的な奥深い音楽になっている、という点においてであろう。