SY

発声練習:母音Iで始めて、Eにしてみた。これがとても良い響き。息漏れのない明るく張りのある声である。
この感覚を応用して、響きが散り易い母音のAなどに応用してほしい。
要するに舌が奥に入り過ぎないように。

曲:
フォーレの「イブの歌」9曲中8曲を、7曲目から始め、8,9とつなぎ、6,5,4,3,2と歌い進めた。
全体に言えば、7番と8番が譜読みの進捗が未完成。
この辺りの曲は、ピアノ伴奏の音楽とメロディラインが密接になっているため、伴奏音楽が正確に表現されないと、歌っている感覚に満足感が出ないという点が特徴。
そのため、本人が判り難いという音楽は、音楽そのものが判らないのではなく、伴奏の音楽の表現に左右される比率が大きい音楽である、という理解が必要。
しかし、フランス語の発音と朗読は、特に重点的に練習しておく方が、理解は進むはずである。

AS

発声練習:

低音域の発声が、高音発声にいかに影響を与えるか?
微妙なレベルだが、この低音発声で喉周辺に微妙に力みがあると、中高音からチェンジがうまく出来ず、結果的に支えのないファルセットにチェンジしてしまう。
力まないで丁寧な低音発声で始めることと、チェンジ領域で喉の更に下側を当てるようにすると、うまくチェンジして支えのある高音発声が出来る。

曲:

デュパルクの「哀しい歌」
課題は高音発声であるが、本質的には発声全体のことに及ぶ。
以前からの指摘だが、声の出し始めを息で突き上げないこと。
彼女の場合は、と限定すれば、むしろ喉から始めるくらいでちょうど良い。
これが、難しいが、今後も練習を続けて行きたい。
また、高音のチェンジ以降は、喉の更に深い場所を意識して出し始めることを練習した。

モーツアルトの「別れの歌」
発音の問題を先ず解決すること。
たとえば、Weinenという単語。2シラブルであることと、aiという二重母音の扱い。そして語尾のenの扱い。
語尾のEnとかErのEは、ほとんどあいまい母音に近い。エでは、あまりにカタカナ読みに過ぎる。
また、このような語尾はアクセント位置と含めて、基本的にディミニュエンドしている。

これらのことを総合的に良く理解したうえで、改めて全体の歌詞を丁寧に読みなおしてほしい。
ドイツ語はフランス語以上に、子音の発音やアクセント位置など、難しい要素が多くある。
日本語のカタカナ語で歌わない努力を、なるべく努力してほしい。
歌詞発音も音楽の大事な要素であるから。

HN

発声練習:
とても丁寧に声を扱っていることが印象に残った。
チェンジは、徹底して声を押さない姿勢のため、ほぼファルセット傾向になるが、押さないで音程も出せるということが進歩と考える。

Tu lo sai
出だしの2点Eの発声から、丁寧に押さない声になっている。
結果的に曲全体に渡って、非常に柔らかく音程の良いメロディラインを作れるようになった点が、大きな成長の証拠。
高音のチェンジ近辺は、やはり徹底して喉を押さない点が美点。

Lascia ch’io pianga
これも、同じく、高音発声で、喉を押さないで出すことが出来るようになった。
ただ、力強い表現がある。
ここは、下顎を降ろさないように我慢して、跳躍音程を前に進むように処理することを徹底して教えた。
下顎を降ろさないため、声の響きを鼻腔に通すように意識すること。
特にチェンジ近辺は、それが出来ないと、喉が詰まってしまうから、感覚的に判るはずである。

Ombra mai fu
これも、弱声よりも強声のチェンジ近辺の処理を覚える段階に入ることが出来るようになった。
これも、前曲と同じく、下顎の我慢と鼻腔発声である。
最後の高音2点Gは、Piuだが、PiのIで響かせて、Uに変える方法がやり易いはず。
この辺りは、練習の要あり。前に出てくるDivegeのDiもIだが、歯と歯の間を開けることで、軟口蓋を高くしておくことが鼻腔発声を出来るコツになる。