FT

声の調子がとても良かったです。
何が良かったか?というと、鼻腔発声の響きと胸声のバランスが取れていたことにあると思いました。
また、以前のように無理やり声を前に出す傾向も影を潜めたことで、発声の無理な力みがなくなったことが大きいと思います。
日本歌曲で「初恋」中低音の声の響きが、喉を占めない良い声質であったし、中高音の発声が、メッザヴォーチェが出来ていて、音程の良い弱声が実現できました。
ほぼ、これで仕上がったといえる出来でした。
丹澤も、発声はほぼ問題ないですが、こちらは、歌詞の解釈と表現が問われてくる段階だと思い、歌詞の解釈を考えてもらいました。
解釈というのは難しいことではなく、詩を書いている人の立ち位置はどこか?誰に向かって言っていることか?他人なのか?自分なのか?という違いを
詩を読んで認識することです。
そこから、自分の感情の発露の仕方を考えるわけです。
その上で、この詩の中で言葉を発している主人公の感情はどうなのか?
怒りなのか?喜びなのか?優しさなのか?郷愁なのか?という感情の違いを良くとらえることです。

悲劇的な歌、というよりも、郷愁が中心なので、明るさや気持ちよさも表現として考えてください。そのためには、柔らかく明るく冒頭を始めることを指摘しました。これも「丹澤」と同じく、歌声もソルフェージュも問題ないですから、歌詞の解釈に十分注意を払って歌えるようになってください。

TK

下あごを良く降ろすと、やはり喉の開き方が違うことが、声に表れていました。
顎がやや硬いようで、もう少し歌う顎が降りると、課題の中低音の声が伸びるように思いましたし、
高音のファルセット化も避けられるように思います。
アーンの歌曲は、プログラムを決めました。
Les cygnes,Le paysageそして、PrisonとQuand je fus pris au pavillonの最後の2曲を決めかねていましたが、今からということ、Prisonにしました。
難しかったのは、Quand je fus pris au pavillonの発音でした。
特にあいまい母音の扱いは、慣れないとすぐにEをエと言いたくなってしまう面です。
例外はあるわけですが、ほとんどの場合、フランス語の単語の語尾がEの場合は、これをエとは発音しないです。Eの上にアクセント記号がある場合は、エと読みます。これだけは最低限覚えてください。
それから、他の外国語も同じですが、Sの発音が軟口蓋化といって、シュの発音になりやすい点に注意。
Siなどが良い例です。シとスィの違いを徹底してください。

TSS

プログラムの曲は、全体に良く歌えているレベルです。強いて言えば、やはり2点C~Eくらいの音域が時々不安定になることと、1点F~2点Cの中低音の響きが通りが悪いことです。
頭声ばかりを意識すると、低音が出なくなりますし、また声量もつきません。
頭声と胸声のバランスは常に考えておくべきと思います。
頭声が高音を拡げることと音程を決める要素であるならば、胸声は声に芯を作り声量と声の輝きを作る要素である、という点だけ覚えてください。
口を縦に開けるように使うことや、口を横に引かないで発声することは、そういうことと関係があります。
また、発声の一般的な方法としても、口を横に引く発声は、声の色を決めるための副次的な方法であり、基本は縦に開けること、あるいは唇を良く使うことが根本的な基本であることを覚えてください。

MM

これまで彼女には試していなかった、下あごを良く降ろした発声を、今日はやってみたところ、これ以上ない、というくらい、良い結果が得られました。
これも、今までの積み重ねでしょう。

発声練習の方法は、口を縦に良く開けておいて舌を動かしてJajajaの発音・発声をする方法です。
ドミソでもドレミファソでも良いでしょう。
この練習方法の場合changeを意識しなくても、自然にchangeするはずなのです。
もしchenge出来ないとすると、どこかに力みがあるからです。

この発声法で聞く声は、いわゆる口先にならないお腹の声になります。
実際の歌唱になった場合、特に外国語だと、この喉奥の開いた発声がしにくいために、結果的に口先で歌っている状態になるわけです。
これが、中低音では浅い響きになりますし、高音は喉を締める発声になります。

基本的な発声法なので、口を良く開けて喉奥が良く広がった状態を感得したうえで、実際の外国語の歌唱法に応用する必要があります。
この点が最も難しい点だと思います。

パーセル「夕べの賛歌」エマ・カークビー「夕べの賛歌」
曲の表現に応じて控えめとはいえ、やはり子音発音がとても美しいし、また正しいです(当たり前ですが!)
真似をする場合、こういう発音に関する点を徹底して真似してください。
表面的な母音の声質とか、歌いまわしなどは真似する必要はないです。

リヒャルト・シュトラウスCacilie
譜読みの段階でしたが、この時にこそ母音発声の徹底を考えて譜読みをしてください。
何となく口先で発音して歌わないことです。
今回の発声法を忠実に守って、発音方法を改善してみてください。