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プーランク「月並みな話」(Banalite)

1曲目「オルクニーズの門」
2曲目「ホテル」

レッスン全体を通して指摘したこと。
フレーズの歌い方と発音の関係。
地声領域とその上の換声とのグレーゾーン領域の開発。

これは声の音楽性をより高めるため。
単純に音程感の明解な声響きを作るため。

基本的なことに及ぶのだが、声の出し始めのやり方について。
息を止めて腹筋(腰も)を張ったまま歌うことで、息は歌に応じて吐けるという方法。
これが感覚的に身に付くと、声帯の状態によって声色が変わる事と強弱の付け方も判る。

フレーズの歌い方だが、音符をつなぐよりも歌詞の単語のニュアンスで歌うこと。
今回指摘したことは、たとえばPorteという場合語尾は強く出さない。
フレーズの自然な描き方に添うのではなく、歌詞を語ることを出すこと。
例えば高音に向かう時、自然に歌うとクレッシェンドになるがクレッシェンドしない場合もある。
それは歌う感覚としては、息の力に自然に任せないで息を少し止める感覚である。
一瞬止めた息は、歌うことに応じて自然に吐かれるということ。

このことによって、フレーズのアーティキュレーションが自在に出来るようになる。
呼気を飛ばすだけだと、フレーズの長さを保てないし、基本的にブレスが伸びないはずである。

アーティキュレーションという面で「オルクニーズの門」はレガートに歌う必要がない事。
特に冒頭の主題の歌い方は、高音で声が飛び過ぎないこと。

それがフィナーレの場合は逆になる。
Se fermerentのFで長く伸ばすF音は、呼気を良く伸ばすように吐いて歌ったほうが良い。
表現に応じて自在に呼気の使い方と喉の使い方を選ぶためにも、息と声の関係を探してほしい。

「ホテル」は、今回の発声方法を徹底してもらった。
低音の地声は息の止め方に慣れると、自然に喉がミックスした状態が見つかるはず。
その場合は軟口蓋から声が出始める感覚を探すことである。