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ドビュッシー「忘れられた小唄」より

「やるせない心地」

全体に作風に相応しい柔らかくリラックスした声の扱いが正解。
中音域では、彼女の歌声の美点としてぜひ身に着けてほしい発声法である。
課題としては鼻母音の特徴をもう少し出せると良いと思う。
特徴的な冒頭のE母音の広さと響きにこだわりを以て歌うと美しい。
Le coeur des petites voixのささやきは、本当にささやくと詩の持っている語感の特徴が薄れる低音域なので響きを持たせるべき。

「木馬」

こちらは良い発声とか良い声のことよりも、語りの調子をフランス語的にどう語るか?
というイメージが持てると、より作風に相応しい表現になると思った。
それは書かれている音楽も表現している。
前奏など、カフェ・コンセール風の大衆音楽の様相が感じられないだろうか?
冒頭の歌詞、命令形で繰り返される、Tournez,tournez!という言い方、フランス人ならどんな風に言うだろう?
あるいは、C’est etonnant,などなど。
それに対して、夕方になってから歌の滑らかさとの対比。
そのためにも、前半のお祭り騒ぎを良く表現できる、元気の良さを大切に!

「グリーン」

冒頭の、Fruits fleurs Feuilles の単語は、その不定冠詞Desを意識して歌う方が明快になる。
そして、Et puis voici mon coeur,,,,テンポがゆっくりに指示されており、充分にロマンティックな気分を演出してほしい。
後は省略するが、そういう感情表現のメリハリをもっと明快にだしてほしい。
また、楽譜に書いてあるスタッカートQue le vent du matin vient glacer a mon frontもその歌詞に対してのアーティキュレーションの意味を充分察してほしい。
それに反して、次のSouffrez que ma fatigue a vos pieds reposeeなどはいかにもロマンティックなメロディ付けではないだろうか?
そのような音楽の変化を良く感じて、それをよく伝える歌を歌ってほしい。、
最後のEt que je dorme un peu…の件は、この作品の最も美しい部分である。
低音の声の響き扱いに、こだわりを持って対処してほしい。

「憂鬱」

特徴的な発音のいくつかを修正。
Renaissent、aiはEであり、Desespoirsnの中間のSをはっきりと。
また、Crainsの鼻母音はEの鼻母音で、喉に深くしないで、鼻腔に響くよう狭く明快に。
最後のhelasも低音なので、弱声を尊重するよりも、はっきり語る方が良いと思う。