久しぶりだったけど、声の調子は良かった。
高音も3点Cまで出る勢いはあったようだ。

全体にやはりメゾ傾向の声は変わらない。
今日は中低音域のピッチを意識して高めに取ること。
そのために、喉の無意識の力み下げることを意識して脱力してみること、などが主眼になった。

彼女のアイデアでバッハの小品クラブサン曲の旋律を歌う、ということをやってみた。
なかなか良いアイデアだと思う。
バッハ的な韻律に馴染めるし、ピアノを弾きながらバッハの落ち着いた瞑想的な雰囲気に浸れる。
ピアノもある程度弾けてバッハが好きな方にはお勧めだ。

後は継続して勉強していたモーツアルトのスザンナのアリアを練習した。
ほんの少しブレスが厳しい所を除けば、かなり良く歌えるようになって安定している。

中音域の響きはややメゾ的だが、良い声になったという印象。
特に2点C~Gの間は声がしっかり出るようになった。
これだけでも大きな進歩だろう。

中音域はピッチが低め、よく言えばメゾ的な響き。
中音域はハミングで練習して正しい高いピッチを決め、そこから母音の響きを導き出して欲しい。
彼女の場合、中音域が出しやすいので、そのまま出すとどすん!とやや重い響きである。
また、ピッチも高めになることで、高音へのチェンジが整合性が出るし、喉の合わさりも高音で良くなる方向に行き易いと思う。

全体にブレスが変わらず短いことと、メゾ的な中音域の響きというのは、どうもブレスと声の関係のあり方に根本原因があるのだろう。
ドイツ的、というのだろうか?息を胸にためて、一瞬の息の力で喉を突き上げるような発声ではないのかな。
非常に雑駁な言い方になるけど、管楽器的な声の出し方である。
発声に関して息の関与は、声を出すことそのものではなくて、生の声と違う、いわゆる響きを作るための要素、と思って欲しい。
ということは、基本的には息で声を出すというよりも、喉そのもの声帯そのものが合うことで声が出る、という感覚。
息は?といえば、振動して合ったり開いたりしているときに自然に、また規則的に出ているだけ、である。

確かに息を吐くことは大切だが、それは声を出すために吐いているのではなく、自然に出ているのである。
その時声は息の強さと直接関係なく、発音され発声されているのである。

ちょっと難しくなってしまったが、要するにもっと喉を使うこと、声帯を合わせるためにはどうするか?
また声帯が合った状態の声というのはどういう状態か?
そのことが課題だと思う。
それがある程度分かってくると、ブレスは伸びると思うし、高音を出すの息の使い方が楽になるだろう。