KKさん

今日は発声練習も喉を暖める程度に、早速歌に入った。
新しい曲がなかなか興味深かったせいもある。

曲はイタリア古典の3巻から、カッチーニのPerfidissimo volto
これは完全にルネサンスのマドリガーレだろう。
古いヴィオルを扱うように、強くなくても真っ直ぐなフレージング。
音楽の性質に合った声質と、ピッチの取り方。
そして音楽が表している悲劇的な部分や、ヒロイックなものの言い方、などを実感しているとしたら、素直にそれを表して欲しい。
もし、発声のことだけを取り出して練習しようとするなら、それはあまり意味がない練習方法だと思う。
また、もしイメージがわかないようであれば、それこそCDはあまるほど世の中に出ているだろう。古楽ブームの日本だし。

彼女は選んで来る曲も良い曲を選んでくる。
後は選んだ後に、それらの音楽を声でどう表現するか?というターゲットを的確に明快に作って、その目標目指して練習することだろう。
それらの曲の音楽と、声のイメージがぴったり来るようになるまで、どれくらいの時間をかければ出来るのか?
良い意味で、効率よく、最小限の時間で、音楽が表している、あるいは歌詞が表現している内容を、声で表せるようになって欲しい。

最後に、ヘンデル「メサイア」からRejoyce
こちらは、前回よりも中高音域の声が喉が下がりすぎの印象で、太く♭気味の中高音の声になっていた。

顎を使わないアーティキュレーションを覚えて欲しいが、どうも慣れないと抵抗があるのだろう。
久しぶりに彼女の横に立って、歌う姿を観察したがかなり姿勢が悪い。
特に背中から首構えに出てしまって、首で支えて歌っている感じが強かった。
もっと背中をしっかりさせて、首をその上にただ乗せるように、ただし真っ直ぐに上にポンと乗せるように。

下顎は使ってはいけないのではなく、使わないようにすることで、他の使うべきところを開発する意図がある。
軟口蓋が特にそうである。
特にオの母音は、確かに下顎を降ろした方が深い声が出るイメージがあるし、その通りなのだが、その前に
上が開いていなければ、それは喉を下に下げることにおいて強すぎる、と思うのだが。

声の深さ、深み、というのは自分で実感したイメージというのは、自分が持っている体格や喉以上のものを無意識に求めてしまう傾向がある。あるいはそういうキャラクターを持っている人がいる、というべきか。
私もそうだったので、彼女のことが良く分かるつもりである。
彼女の自然体、彼女の持っている喉のポジションをもっと生かした、適度に深い、自然な声を早く確立して行きたいものである。