TY

学校の部活で、K-ra-zy for youをやる、ついてはオーディションで歌う歌を見てくれ、とのことで、早速ほんものの録音を聴いてから、本人の歌を聴いた。
男役のほうは、キーが低くて声云々とは行かないが、強いて言えば、低音を歌うなら1オクターブ上の声をイメージして出すと良いだろう。
低いからと言って力むと余計出なくなる。
女性のほうはキーはちょうど良い。
いずれにしても、地声領域の声をかなり使わなければならないので、発声練習で地声からチェンジするくらいまでを練習。
良い声が出せている。
喉に負担が出やすいので、くれぐれも無理に出さないように。

オーディションに関しては、声のことより、表現力が問われるだろう。
これは、日本語の歌でも何でも同じことだが、自分が歌っている歌詞のことを歌っていて意識できるかどうか?
にかかっている。

このようなお芝居の歌であれば、登場人物のシチュエーションやキャラクターがはっきりしているから、それを念頭において
歌うときにも、そのことを充分出そう。また、対象があるわけだから、その対象も自分でイメージして歌うこと、である。
漠然と歌っても、何の表現にもならないから、くれぐれも漠然と歌わないように。

コンコーネは13番~14番を練習。
1点Aの音が苦手らしいが、これは音程の関係だろう。
レ~ラとかド~ラという音程が取り難いらしい。
これは、馴れことしかないだろう。
少しずつ積み重ねることで、いつの間にかこのような苦手がなくなっていくものである。

KY

発声練習は中低音をリラックスして、じっくり出してから少しずつ高音に昇った。
高音は、口の開け具合に注意。開けすぎは禁物だが、閉じすぎても上手く行かない。
響きを聞いて判断できると思う。

曲はモーツアルトのスザンナのアリアから。
発声練習でも、いつもそうなのだが、喉に意識が行き過ぎていて、頬を上げることが
足りない。あるいは、喉を下げる意識が強いために、軟口蓋を上げるように発音、あるいは
発声する意識を強く持って欲しい。
例えば、エの母音などは典型である。

Deh vieniの最後のイの母音が2点Fに上がるが、こういう時には、上唇を持ち上げる、必然的に鼻の穴が上に開くような発音が出来ると、軟口蓋が上がって、喉のバランスが取れるだろう。

例えば、最後に出てくるVieni vieni !と続く所が高音に上がるが、これも同じである。
喉を下げることにばかり意識を向けないで、むしろ軟口蓋を上げるようにすることで
彼女の場合バランスが取れるようである。

後は、フランスのロマンス集から、Que ne suis je la fougereとか、Jeunne filletteとか、
Maman dites moi!とか、Venez agreable printempsなどを次々と歌ってもらった。

大分、昔に教えたことがきっちり再現出来ていて、彼女とのレッスンの結びつきの強さみたいなものを強く感じられて嬉しかった。
これらの曲、すべて彼女にはお似合いである。
明るさとか、温かさのようなものが、声から強く感じられるからである。

最後にこれも以前にやったベッリーニのVanne o rosa fortunataを歌ってもらった。
この辺も、今の彼女がもう一度勉強しなおすには良い題材であろう。

SY

本番の話など少し。
エンジンがかかるのがやはり遅い方らしく、もう少し長いプログラムで彼女の良さが引き出せる機会があれば良いな、と実感。
それでも、声の建て直しの余裕や、センスが育ったのが何よりの収穫であったと思う。

声馴らし程度に軽く発声練習。
曲は「イブの唄」から、Eau vivante,Comme dieux rayonne,Dans un parfum de roses blanches
そして、最後にParadisを通した。
譜読みはほとんど出来ていて、後はひたすら歌いこみあるのみ、と実感。
なるべく早い時期に、残り4曲を出して、全曲演奏を目指したい。

この曲集に関しては、声の細かいことをレッスンするよりも、ピアニスト付きで総合的なレッスンが出来れば彼女のためにも良いことだろう。
というのも、譜読みが出来ていても、ピアノの微妙な和音やリズムとの絡み合いが特徴だから、歌だけをレッスンしても、全体的な把握において、バランスが取れないと思うのである。

また、数曲をなるべく通して歌うことで、最終的な全曲通しての演奏に慣れてもらいたい意図もある。今後はその辺りも考慮して、レッスンを続けて行きたい。

AC

いろいろと本番の話をしてから、復習でデュパルクを歌ってもらった。
細かく言えば、発声の課題はまだあるわけで、少しずつ改善して行きたい。
声の出し始めで、微妙に声帯を開いて息が先に出るような感覚は練習してみる価値はありそうである。
というのも、声が当たり過ぎる傾向が残るので、良く言えば力強い声の響きだが、やや声が前過ぎて、締まった印象が出る。

クラシックの声の嗜好性や傾向と一口に言っても、好き嫌いや好みが実はあるのだが、もう少し
開いた発声が出来ることで、共鳴が得られるだろう。
共鳴は、どの音域でも必要で、彼女の場合は特に2点C以下の低音域でも、共鳴を意識できるためには、開いた発声を覚えてもらいたいところである。

具体的には、声を口から前に出そうとしないで、常に頭の中、或いはもっと後頭部の方で響かせようとする意識を持つこと。
そのための、姿勢であったり、口の開き方、使い方になる。

気をつけてほしいのは、彼女の場合も喉に意識が行き過ぎて、喉を深くしすぎてしまうことである。軟口蓋側の共鳴ポイント、空間を感じられるように、顔面の筋肉、頬を上げることやこめかみを吊り上げるなどの訓練を大切にして欲しい。