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急なイベントで、童謡やポップスを歌う、とのことで、ディズニーのリトル・マーメイドの「パート・オブ・ユア・ワールド」「となりのトトロの「さんぽ」」AKBの「桜の栞」エヴァンゲリオンの「残酷な天使のテーゼ」など、ざっと歌ってもらい出来るだけの指導をさせてらもらいました。

どの曲も、良く歌えていました。
歌がはきはきとして、歌詞をメロディに乗せて自然な歌に出来ている点でが良かったです。
恐らく学生時代にやった演劇の訓練が言葉を素直に歌える、自然な演技力につながっているのでしょう。

リトル・マーメイドの歌は、音域が高めのせいか発声に少し力みが感じられ、2点Cから少し♭気味になることを注意してください。
高くチェンジした声を想定した所で歌うと、音程感の良い声になります。
キーを下げたバージョンも歌いましたが、こちらの方が音程の面はクリア出来ますし、リラックス出来る歌ですが、
オリジナルのフィルムを見ると、少女のようなキャラクターなので、高いキーの方が良いでしょう。

「桜の栞」とても良かったです。歌声が良かったせいもありますが、曲の作りの上手さに惹きこまれてしまいました。
昔の日本の唱歌のメロディの一部を上手く取りこんで、卒業式や桜、という日本固有の季節性を、上手く現代のメロディに作り上げています。

となりのトトロ「さんぽ」は、単純に歌詞の面白さ、言葉を率直に伝えて下さい。
元々出来ていますが、もっと強調してちょうど良いです。

エヴァンゲリオンは、シンコペーションのリズムが小気味よく歌えており、リズム感の良さを感じました。
声は地声で良いと思います。
発声は、ジャンルに関わらず地声が一面的に悪いわけではありません。
使い方をきちっと覚えるためには、またチェンジした声も覚えておけば間違いない、と思っていてください。

HN

しばらく間が空きましたが、その間も練習していたようで発声、歌、共に進化していました。
特に一番の進化は高音の発声でした。

下降形の発声練習で、Sa-iという形のオクターブのアルペジョを初めてやってみました。
これが高音の発声で、恐らく初めてくらいに彼女のチェンジした良い声を聴けました。
まだ完全ではないですが、高確率で良い当りが出ています。

ファルセットですが響きが集まって、支えのある出し方になっています。
以前はこれが判らなくて、四苦八苦していましたが自分で見つけたというのが大きいです。
ただ、歌になるとフレーズの形や歌詞発音もあって、この発声は確実になりません。

どうも唇や口の形を作るのがとても硬いようで、動かないです。
口先をもっと自由に動かすことで、喉が上がらないように出来るのです。

歌って見る時に、出来れば鏡を見ながら歌ってみると、このことが良く判ると思います。
特に高音を歌う時、良くない力の入り方がどこに入っているか?
なぜ、そのような場所に力が入るのか?が鏡を見てみると、自己分析出来ると思います。

もちろん、動画を撮ってみるのも良い方法でしょう。

FT

今日は発表会の3曲を通して見ました。
日本歌曲、信時潔の「沙羅」の「丹澤」、中田喜直の「夏の思い出」トスティのIdeale
いずれも、良く歌えています。

今回、レッスンを通して教えながら、失礼ながらつい苦笑してしまったことがありました。

時々自然で良い声のポジションが出ていますが、まだ口先で声を作ろう、とする傾向が残ってます。
気持ちや雰囲気で歌おうとするのではなく、発声の基本を徹底することが大事です。
何となく表現してる風、では本当の良い声にはなりません。
顔の表情でついつい作ってしまうのですが、それは下手をすると滑稽なだけで声の表現にならないことがあります。

落ち着いてゆったりした気持ち、嘘の自分ではなく、自然な状態で緊張が解かれていて、落ちついた声が出る状態で、初めて本当の良い声が出る、と思って下さい。
その声は、FTさんの場合どんな声でしょうか?
恐らく、低いゆったりした声なのだと思います。

判りませんが、恐らく非常にシャイであるか、自分を出さないでいることが多いのではないでしょうか?
自分を出す、というのはわがままなことを言ったりしたりするのではなく、人に嫌われても全然構わない、自分のぶっきらぼうなくらいの
素直な物の言い方、という面ではないでしょうか?

そういう状態の時に、とても自然な声がお腹から出るのです。

基本は徹底してこのことに尽きます。
これが出来れば、後のことは自然について来るでしょう。
見た目でやる、何となくやる、というところから離れて、改めて自然にお腹から出す声ってどんな声だろう?
という原点に振り返ってみてはいかがでしょうか?

MM

L’esuleは、中音域1点F~bまでは、良いのですが、やはり中高音の2点C~Gにかけて、声帯が開いてこもった声になってしまいます。
この曲の高音は、いわゆるアクートな響きが要求されるイタリアンな表現です。
良い意味でもっと喉を使えるようになると良いです。
そのため母音をIにして、練習しました。そこから、応用でEも良いです。
この状態の母音発声は、声帯が伸びて合わさった状態が出来やすいため、母音をAにした場合も、この喉の状態を覚えておいて、Aに応用すると良いでしょう。
特に、曲の最後に出て来る、La patria miaのMiaのIと最後のAです。特にIからAにFisからGと音程を上げる際に、声帯を決して開かないぞ、というくらい頑張って下さい。その響きこそが、このフレーズの表現の要になるからです。

「さびしいカシの木」日本語に相応しい母音の響きで、優しく気持ち良く歌えています。
1点hの声の響き、山の上ののやま~の部分、音程に気を付けて下さい。高目を狙って下さい。

「月夜のララバイ」これもかつての彼女の声からすると、大きな変化、それはとても良い傾向ですが感じられる歌になりました。
柔らかく綺麗な日本語らしい歌声になっていると思います。
ただ高音のファルセットが難しいため、PPの声をどうするか?と云う部分が未解決です。
力を抜いて出す、ということが判れば簡単ですが、これが難しいです。
ここを避けて通らず、努力して抜くことを覚えると、他の発声にも良い影響が出る、と思います。

舌根はどうか、下顎はどうか?あるいはこんな小さな声でも良かったのか?と思うだけでも違うと思います。
あるいは息を余計に出していないか?その逆で息を止めていないか?
どんな要素でも良いですが、当り前と思ったこともすべて一端否定して見ると、何が原因なのか?が判ることがあるのが発声の面白さであり、
また難しさでもあると思います。