TF

今日はとても良い声の結果が出ました。
こう書くと簡単ですが、ここに来るまでの紆余曲折があればこそ、ここまで来られたと思っています。

アペルト、な発声を極力排しました。
中を狭く、また声を深く入れるように発声をします。
高音だけではなく、すべての音域、低音からすべてこの方法が良いようです。

きっかけはイタリア古典2巻巻頭にある、O leggiadriocchi belliでした。
普通このイタリア語の母音の明るさや、音楽の明朗さを自然に声で表すとアペルトなイメージですが、
彼女、どうも声の出だしが決まらないのでした。

それで、口の開け方を大きめに取って、声を鼻の辺りに当てるようにやってみました。
これだと3回に1回くらいの成功率でした。

3回に1回ではと思い、思い切りChiusoにしてやってみよう、と思い立ったのが成功したきっかけでした・・・
細かいことを書くと、これを読んでかえって彼女が迷うので書きません(笑)

今日のレッスンの感覚、体感だけを大切にし、思いだして練習するならしてみてください。
次回、また道から逸れていたら直せば良いでしょう。

シューベルトの「野ばら」で最高音に行く部分は単語の語尾である、ということを考えてください。
飛び出しては駄目なのです。抑え込んでください。

感心したのが、日本の歌の「浜辺の歌」でした。
これもなるべくChiusoに発声してもらいました。

全体に音程が良くなったことだけではなく、息の無駄な凹凸のあるフレージングがなくなり、本当の意味でのレガートな
歌になっていたことが、驚きでした。
まったく、発声一つで驚くほど変わると言うことを、教えていてこれほど実感したのは初めてでした。

本人も判った、と云っていましたが、油断せず、しかし練習のし過ぎでかえって訳が判らなくならないよう、注意して次回に繋げてください。

YT

前者のTFさんの好調に気を良くして、彼も同じことを練習してみました。
もとより、彼は癖のない発声で、すでにとても良いレベルを持っていますが、微妙に開いた息漏れのある声があります。
音程も良いし、明るい声なので、良いのですが、もっともっと良い声を目指したいところ。
バリトンとしての太さも基本的に持っているわけなので、その太さを充分活かした声作りをして行きたい。

今日の発声のトピックは、ハミングでした。
ハミングを1オクターブくらいしてから、ハミングから母音に変換します。
この際に、単純に変換してしまうと、開き過ぎて開いた声になってしまいます。
ハミングがNだとすると、ここから母音変換する際に、Gaとなって、母音になりますが。

このGの成分が大切です。
このGを大切にして、極力開かない、母音、というとおかしいかもしれませんが、Aとはっきりしないくらいの
響きにするわけです。

これが、昔で言うと鼻腔共鳴みたいな響きになります。
恐らく、ですが、声帯が良く閉じて、乗りの良い振動の仕方なのだと思います。

Piacer d’amorは、開口母音、息が漏れないように、息の力ではなく声帯の振動が、常に一定になるよう、注意してもらいました。
Ombra mai fuは、低音の声、脱力して良い弾性のある低音を意識してください。
最高音のPiuは、力まずに、むしろビブラートを最後は抑えて、Pにディミニュエンドする方が良いと思います。

Tu lo saiは、懸案の出だしのTuの声が飛びださなくなりつつあります。
後半のサビの部分の高音も、何回繰り返しても、どうにかひっくり返らなくなり、安定しました。

全体にノーブルなハイバリトンらしい雰囲気が表れて来ました。
後もう少しの感じです。